Chapter11(2/6ページ目)
すろーらいふと港の生活、そして用事(後)

「やあやあやあ、お疲れ様。どうだったかい? 初めてのドラッグレースの感想は? 爽快だろ! え?」

僕はフラフラになりながらも、ジョニーのもとに行った。

あっという間だった。

普段のレースなら、今やっと1000mを走ったところだろうと思った。

アクセルを吹かした瞬間、僕は3ケタのスピードまで加速していた。

そして、ふとスピードメーターを見ると、とっくのとうに300km/hを叩き出していた。

タイヤは唸り声を上げ、今にもスピンしそうだったけど、エンジンは故障するかと思ったけど、そしてちょっぴりだけ死ぬんじゃないかと思ったけど、それでもすごい気持ちが良かった。

僕は、まるで空気を掻き分けて進むような気分を味わっていた。

そして、ハラハラドキドキの気分。

そういったものを思い出すと、アグネスは勝手にいい気分になるようだった。

「おい、聞いてるか? それとも感動で気分高揚してエンストしちゃったか?」

ジョニーが再び質問する声が聞こえた。

「す――凄いです・・・こんな体験、初めてだ――あの風を切る気持ちよさ・・・」

「うんうん、そうだろそうだろ。他には?」

「唸るタイヤ、叫ぶエンジン、限界――」

「そうか! それは良かった、ドラッグレースの楽しさが分かったようだな!」

僕は半ば放心状態のまま、ドラッグレース場の受付まで連れて来られた。

それから僕はジョニーに別れを告げ、再び外へ出た。

もう正午を過ぎ、今が暑さのピークかもしれない。

まだ5月だけど、とっても暑い、暑い、暑い・・・

僕は周りをきょろきょろ見渡した。

涼しそうなものを探すため――

「・・・ダメだ。何にもない。ちょっとブラブラして時間を潰そうか・・・」

ということで、僕はその辺を走り回った。



やっぱり港町だけあって、何か風流な感じがする。

辺りは石作りの建物が多く、路面も石畳の道が多かった。

路地なんかも見てみたけど、そこは別世界だった。

どこか外国か、もしくは昔にタイムスリップしたかのようだ。

とっても平和に見えるけど、これが『治安の悪い街』・・・?

ちょっと信じられない。

ゆったりした時間がここにはあるのに。

今この街で時間が早く過ぎて欲しいと思っているのは僕ぐらいじゃないかと思ってしまうぐらいだ。

とりあえず、大通りに出て、どこかお店で一休みしよう。

もうすぐレースも近づいてくるし、体力は残しとかないと・・・



この街で時間をじれったく思っているのはアグネスだけじゃなかった。

丁度アグネスが路地を通過した後、二組のチョロQが路地に入ってきた。

一台はボディを黒に包み、コソコソ行動しているのが丸見えだ。

もう一台は深緑のボディで、こちらはコソコソはしていないものの、焦っているようで、もう一台の黒いチョロQに何か言っているようだった。

「――だから、早く行動しないとバレるじゃないですか。分かっているのですか?」

「分かっている! 私が忙しいのは分かっているくせに! お前が急かすからだ!」

「私はスケジュールを守らないともっと大変になると言いたいのです」

「私が姿を見せたらどうなるか分かるだろう? みんな、寄って集ってくる。そうなったらますます遅れるのは目に見えてるぞ」

「ふぅ、仕方ないですね。じゃ、こちらから行きましょう――」

間もなく、この二台は路地の向こうへと消えていった。

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最終更新日(11.04.21)
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