Chapter10(2/4ページ目)
すろーらいふと港の生活、そして用事(前)

さて、ところ変わってここは新チョロQワールド。

ハセガワ3131はここに戻っていた。

「さて、僕はどんな対策をしたらいいのだろうか。とりあえず、コースの情報はつかんだ。僕とバラートが出場して、事故っちゃったコース。橋はまだ直っていないから、夜の海で使われる道を使う。途中にトンネルがあって、その中は曲がりくねっている。でもそれ以外は海と同じ。あの時は、車体の重さが功を成したといってもいいかもしれない。ということは、そこに力を入れればいいのか・・・・で、どうやればいいのか・・・そうだ、確か――」

ハセガワ3131はあるものを探し出し、見つけた。

「これだ、あったぞ。ちょっと恐いけどね・・・」

そしてハセガワ3131は家を出て行った。



ここはチョロQタウン・ジムカーナ場。

そこにはバラートがいる。

ブラック・マリアに会った次の日から、毎日ここに通いつめている。

「俺は、ひたすら運転の技術を磨いてやる!そのためには、ジムカーナが手っ取り早い。30秒を毎回切れるようになるまでやって、ショッピングモールでぐるぐる回って、郊外の周回道路も回ってみよう。とにかく、次のレースからは腕で勝負してやるっ!」

バラートは、熱く、堅い決心を胸にジムカーナを攻めまくる。

ことろで、夜の海はオフロードコースなのに、バラートは舗装路やレンガの道を走りまくっているスケジュールになっている。

こんな感じでいいのだろうか。

バラートは、チョロ砂漠の経験から無計画は良くないと感じたはずなのだが・・・



それから何日も過ぎ――


今日は5月6日の木曜日。

あと二日でアグネスはマウンテン・マウンテンを下山する。

振り返ってみると、それほど効果が無いような気もした。

トレーニングは、ほとんどしなかった。

畑仕事はしたんだけど。

そう、月日は矢の様に去っていってしまった。

時間は・・・戻せない。

ただ、そう落ち込んでばかりいられない。

ポジティブに考えていかなければ。

そうしないと、何も始まらないではないか。

アグネスは、急に狂ったようにトレーニングを始めた。

こうすれば、何とかなるはずだ!

体力と足腰を鍛えて、長期戦なら負けないだろう。

後はパーツを揃えるだけだ。



今日は5月6日の木曜日。

新チョロQワールドのとある家だ。

ドアが開いて、ハセガワ3131が入ってきた。

彼は、とても疲れていた。

まず、身なりがすごいことになっている。

ボディのあちこちにキズやへこみなどが出来ていた。

ボンネットからはたまに煙が出てきている。

彼は、デスマッチ大会に参加していたのだ。

彼は、元々強みであった頑丈な車体という性質を、もっと強くしようとしたのだった。

そのお陰で、今までに増してブロックは上がったし、体力もついた。

後はパーツを揃えるだけだ。



バラートは燃えていた。

今日は5月6日。本番は11日だ。

だんだんと迫ってくる本番に、バラートは燃えていた。

今日は、チョロザンヌ山でダートコースの練習だ。

「今まではジムカーナでテクニックやライン取りをつかんできた。今日からは実践演習で走りまくって、アグネス達に差をつける!」

という信念のもと、春の山(もう桜は散っているけど)をフリー走行した。

これで、本番は絶対に勝てるはずだ。

いや、勝ってやるんだ!

体力とテクニックは付いたはず。

後はパーツを揃えるだけだ。



ついに下山の日が来た。

一ヶ月弱のココでの暮らしにサヨナラを告げるときだ。

まさかとんでもないハプニングが起きるとは思っても見なかった。

「じゃあ、1ヶ月間お世話になりました」

「うん、またおいで。いつでも待ってますよ」

まずは、ホテルの係りの人に。

「また、逢えたらいいですね。レース、頑張ります。そして、あの時の言葉、心に刻んで覚えておきます」

「うん、いい心がけだ。忘れるんじゃないぞ」

「はい、『忘れるまで』覚えておきます」

「・・・」

アーパスさんにも言った。

なんか、いろいろな人にサヨナラを言うのは寂しかった。

この後思い返してみると、迷惑をかけた気さえした。

アーパスさんや、他の人もみんな、働いているのに。

忙しいのに。

そんな中、お別れのサヨナラを言うのはやっぱり悪かったような気がする。



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最終更新日(09.07.20)
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