Chapter9(2/3ページ目)
準備
アグネスはひとまず家にまっすぐ帰った。
「ただいまー、母さん」
「あら、アグネスじゃないの。見ていたわよ、ロングサーキット。さすがウチの息子!みたいな走りでかっこ良かったわ」
「そうか、それはどうも。ところで、次のレースは1ヵ月後なんだ。それまで何もすることが無くて、どうしたらいいかな」
「うーん、じゃあ、マウンテン・マウンテンにでも行ってくれば?」
「えっ、あの山?!」
マウンテン・マウンテンは中央チョロQワールドで一番標高の高い山である。
「きっと運動になるわよ、体力が衰えないうちに行って来たら。空気もきれいだし、トレーニングには最適の場所よ」
「でもあそこには何も無いんじゃ・・・」
「なに言ってるの?!マウンテン・マウンテンと言えばトップクラスのレーサーが自分を鍛えるために合宿やキャンプをしにいくので有名じゃないの。あなたは小さい頃からメディアには興味が無くて町を走ってばっかりだったからねぇ」
「う・・・うるさいな・・・」
「とにかく行ってみなさい。いい経験になるわ」
「・・・分かった。とりあえず行ってみる」
「ところであなた、今お金はいくら持ってるの?」
「1500Gだけど」
「んまぁ、そんだけしか持っていないの?!ちょっと待っていなさい」
数分後、どこから持ってきたのだろう、大きな袋を持ってきた。
「え?まさかその中は全部・・・」
「そう、お金なのよ――って、そんなわけ無いじゃない、見せかけよ」
中から出てきたのは金庫だった。
「えっと、番号は・・・」
母は金庫をガチャガチャいじる。
そして扉が開く。
中身は・・・また金庫!?
「やっぱり、いくつも無いと不安だから・・・」
「ふーん、って、どんだけ入ってるの?」
金庫の中から金庫がどんどん出てくる。
マトリョーシカとか、こけしのような感じだ。
「ああ、これが最後よ」
最後だという金庫を開けようとする。
「・・・あら?」
「・・・えっ?何かあったの?」
「番号忘れちゃった・・・」
「どうするのさ、最後なのに」
この返事は「ちょっと待っていなさい」だった。
また数分後・・・今度は金具をもってやってきた。
「ん?何だろう・・・パール――!まさかそれで・・・」
「他に方法は無いでしょう、仕方ないわ」
次の日。
「じゃ、行ってきまーす」
「はいはい、気をつけてね」
まさかパールを使ってこじ開けるとは思わなかった。
っていうかそれって強盗や泥棒がやるもんだろっ!
アグネスは金庫の中身の一部をもらい、所持金は6500G。
どうやら宿泊費に必要らしい。
Q'sファクトリーは基本無料だったのに・・・
そういえば、ポイントカードも1週間の2倍キャンペーンを逃してしまった。
いろいろあったからな・・・
なにかとネガティブになりながらもマウンテン・マウンテンを目指す。
「少なくともあの川(Chapter5)は渡らなくてもいいんだ、それはいいんだけど、この湿原、妙に暑くないかなぁ?」
アグネスは既にマウンテン・マウンテンの麓、リュウム湿原まで来ていた。
ここはいつも緑が濃くて、ジメジメしている。
おまけに今日はなんだか暑い。
「ここは早く抜けよう。水もオイルもあまり持っていないし・・・」
やがて、登山道の入口が見えてきた。
入口には入山者の名前を記すノートが置いてある。
アグネスはパラパラとめくってみた。
名前の知らないのもあったが、意外と有名なレーサーが多い。
この前会ったブラック・マリアの名前まで書いてあった。
アグネスはそのノートに
『name・・・アグネス
age・・・16
from・・・チョロQタウン』
と書き込んだ。
「よし、登るか・・・」
アグネスは登山道に入っていった。
アグネスが登山道に入った25秒後、そこに一台のチョロQがやってきた。
彼はノートを見て呟いた。
「・・・アイツがアグネスか・・・やっと見つけたぜ・・・」
彼のボディはアグネスと同じ、色も同じだ。
そして登山道に入っていった・・・。
やっとこさ9合目に着き、村に着いた。
アグネスはまず、宿に予約を入れた。
その宿はレーサーがよく泊まる宿で、レーサーであることを証明するものを提示すれば格安で泊まれるというものだった。
2週間で3000G。
ありえないほど安い。
実は、主人がテレビでアグネスの活躍を知って、特別にまけてもらったのだった。
アグネスは自分の泊まる部屋を見に行った。
「うわぁ、豪華だなぁ・・・ん?」
部屋自体は結構いい作りだ。
しかし部屋の隅を見ると様々なトレーニングマシーンが置いてあった。
「部屋でも鍛えろってのか・・・まあ、これからに備えてだし・・・やっぱり今度やろう」
アグネスは宿を出て、外をぶらっと回ることにした。
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最終更新日(09.07.20)
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