Chapter15(2/4ページ目)
帰還、そしてすれ違い

そこはもぬけの殻だった。

特に異常なことがあったようには見えない。

激しく争った跡は見られないし(砲撃の跡もない。土も普通だ。特に誰かが襲ってきた訳では無いようだ)。

それでいてシーンと静まりかえっているのは、むしろ気味の悪いことだった。

そんなゴーストハウスのようなクラッシュの家の前で、コルテックスは訳が分からなくなっていた。

(一体全体、どうなっておるのだ?)

・・・。

光線銃を構えていた腕の力が抜けてきて、思わず落としてしまった。

遠くから良く確認したくて丁度岩の上に立っていたから、銃は岩に当たって「ガチャン!」と砕けるような音を立てた。

(ジャッキーどころか、バンディクー共もいないではないか・・・)

コルテックスは鉄とプラスチックの破片をかき集め、もう一度目の前の風景を舐めるように見回した。

・・・。

・・・。

やっぱりいない。

どこだ?

どこに消えたんだ?

(でも待てよ、バンディクー共が消えたということは――)

コルテックスは冷静に考えてみた。

自問自答だ。

元々の目的はなんだ?

――勿論、世界征服に決まっている。

じゃあ、何で今まで出来なかった?

――バンディクー共が邪魔をするから。

だからどうしたかったんだ?

――打倒バンディクー。

で、相手がいないということは?

・・・。

・・・!

(――ということは・・・)

コルテックスは自然と何かが体の内から沸き上がってくるのを感じた。

いわゆる「興奮」だとか「快感」のようなもの。

想像しただけでゾクゾクしてくる。

「世界征服まっしぐら、か」

コルテックスは自分を押さえ付けるような落ち着いた声で言った。

でも、本当は滅茶苦茶はしゃぎたくて仕方がないくらいだ。

とりあえず、潜水艦に戻ろう。

早くプランを立てなくては。

「最近は打倒クラッシュプランしかなかったからな・・・すっかり本来のプランを忘れてしまった・・・」

そして、ここに来た痕跡を消すと、コルテックスはそそくさと潜水艦に戻った。

再びもぬけの殻のようになったこの場所には、さざ波の音しか聞こえてこない。

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最終更新日(11.04.13)
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