Chapter15(1/4ページ目)
帰還、そしてすれ違い

クラッシュは愛機・オレンジバロンの前で鼻歌を歌っている。

燃料を注ぎながら鼻歌を歌うクラッシュは、それこそ「様」になっていた。

「よしっ、給油終わり!」

「なんか、カッコいいんだか悪いんだか・・・」

ジャッキーは笑いそうになっているのを何とか堪える。

クラッシュの格好が格好だから、いくら威勢良くても関係無かった、、、

「よしっ、それじゃ出発するよ」

クラッシュはオレンジバロンとCRグライダーを頑丈なロープで結んだ。

グライダーは動力を持たないから、何かで浮かばせないといけなかった。

手早くロープの準備を終えると、ウキウキしながら乗り込んだ。

きっと、飛ぶことを待ち望んでいたのだろう。

ジャッキーは飛ぶのが嫌だったから、何となくションボリして見える。

風はそろそろ落ち着いてきて、フライトには持ってこいの状態だ。

・・・と言うか、今飛ばないと危険だった。

グライダーが煽られてしまうかも。

いくら敵でも、海に真っ逆さまに落ちる場面を想像するのは苦痛だった。

いつだったか、クラッシュは浜辺の岩の上から海にダイブしたことがあった。

でも、その時うっかり腹から落ちてしまった。

クラッシュはいつまでもそのときの痛みを忘れなかった。

水色に広がる鉄板。

例えるならこんな言い回しだろうか。

何で、変化自在な水があんなに堅くなってしまうのだろう。

とにかく、墜落させるのだけは何とか避けたい。

だったら、風の暴れていない今のうちに出発したほうがいい。

「よーし――エンジンスタート・・・!」

オレンジバロンは息を吹き返した鳥のように海の遥か上へとフライトした。

後ろからはジャッキーの乗るグライダーが、オレンジバロンに引っ張られて風に乗っていく。

今度は、間違えないようにタスマニアに向かわないと。

やがて、白い空に写る黒い点も見えなくなった。

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最終更新日(11.04.13)
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