Chapter14(7/9ページ目)
会いたくない、けど会う
「・・・もういいよ、オイラが悪かった」
しばらくして、クラッシュは自分の方から折れた。
でも、完全に折れた訳では無い。
むしろ今の空気に嫌気が差していた。
そのまま口喧嘩していたらクランチと同じようになるかもしれない。
喧嘩ばかりやっていたくはない、当然だけど・・・
こういうときは、男が謝れば「とりあえず」は丸くおさまるものだ。
ココは自分の態度を認めず、ムスッとした態度を突き通した。
「別にいいわよ、全然気にしてないから――」
つまり態度を見直す気は無い。
「――お兄ちゃんこそ、もっと可愛い妹に優しくして欲しいな」
つまりクラッシュのほうが悪いと思っている。
(チッ・・・なんでこんな性格になったんだよ、ココは)
クラッシュは心の中で舌打ちをした。
表では苦笑いを浮かべているけど、本当はココを殴り倒してやりたいぐらいだった。
(だって、そもそも悪いのはどっちだよ、オイラはただ指摘しただけ・・・)
内心イライラしつつ、クラッシュはココに飛行機の燃料を要求した。
「オッケー。すぐ取ってくるから待ってて」
と、ココはすぐに部屋を出ていった。
ココが必要以上にうるさい音でドアを閉めた途端に、クラッシュはヘナヘナとその場に座り込んでしまった。
「ちょっと、どうしたの?」
ジャッキーが寄ってきた。
「うん、ちょっとね・・・力が抜けちゃった」
クラッシュは弱々しくハハハとジャッキーに笑いかけた。
ジャッキーはそんなクラッシュをどこか興味深そうに見つめていた。
・・・。
「ココはな――」
クラッシュが突然ジャッキーに喋りかけた。
「――昔はあんなじゃなかったんだ・・・」
「そうなんだ・・・どんな感じ?」
「そうだな・・・あんなにすぐキレるような妹じゃなかったよ」
「ふーん」
「そりゃ、どうしても我慢できないときに・・・っていうか、オイラが遊んでいるときに――」
「つまり『のらりくらりしているとき』ってこと?」
「う・・・うるさいぞっ、このハリモグラが――」
「ヘヘッ・・・いや、キシシ・・・かな」
「どうにでも言ってろって・・・とにかくだ、その『なんたらかんたら』しているときは良く爆弾でちゅどーんとやられたなあ」
「爆弾?!」
「そう、あいつ、いつの間にか仕込んでいやがる――」
(普通の兄妹じゃないな、こりゃ)
「それで、あるときからカンフーにハマり出したんだ」
「カンフー・・・」
「どした?」
「いや、なんか思い出しそうな感じで・・・」
「ふーん・・・・・・!」
クラッシュは一瞬の間の後ハッとした。
クラッシュの尺度からすれば、気付く早さは光速レベルだ。
(そういえば、ジャッキーはココとカンフー対決したことがあるんだっけ・・・昔を思い出させてしまったらマズイよな・・・)
クラッシュは話をここでやめてしまった。
さすがにこれ以上話したら、記憶が戻ってくるかも分からない。
クラッシュは早くココが戻ってきてくれないかと真に願った。
ココはまだ戻ってくる気配が無い。
「ねえ、話してってば」
ジャッキーが呼び掛けているのに気が付かなかった。
「え? あ・・・何?」
「続けてよ、ココの話。聞きたいな」
「うん・・・いや――」
クラッシュは微妙な返事を返した。
「・・・・・・」
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最終更新日(11.04.13)
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