Chapter14(3/9ページ目)
会いたくない、けど会う

「・・・戻ろう」

クラッシュがそう呟いたのはしばらく経ってのことだった。

相変わらず辺りは寒く、身の拠り所はオレンジバロンの影と毛布の内ぐらいしかない。

「え? 戻るって、タスマニア・・・に? 今はどうやって戻るか考えて――」

「――いや、そういう意味じゃなくて」

クラッシュはジャッキーの返事を遮った。

ジャッキーは遮られたのが気に入らなかったのか、ちょっと不機嫌で怪訝そうな顔をした。

「じゃあ、どこなんさ」

ジャッキーはぶっきらぼうに返した。

「ココの会社」

「・・・あのさ、」

「何?」

「それ、本当に今思い付いたの?」

ジャッキーにしてみれば「何を今更」感を受けるような打開策に見えたらしい。

クラッシュはそんなジャッキーに対して、まったく引く様子は無かった。

「だったら、ジャッキーは先に何か思い付いてたっけ? オイラが先だよね」

「アー・・・うん、そうだね」

「じゃあ文句は言えないぞ」

クラッシュは、またココに何かやられるのを嫌っていたから、出来れば戻りなくは無い様子だが・・・

二人は、街の中に再び入っていった。

体が波打ち際の冷たい風に慣れたからだろうか、もう中心街のビル風は冷たく感じなかった。

むしろ痛く感じたのは、ボロボロの毛布を体に巻き付けたクラッシュへの周りの視線だった。

丸い目で見られるものだから、いてもたっても出来ず、益々足を早めた。

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最終更新日(11.04.13)
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