Chapter14(4/9ページ目)
会いたくない、けど会う
「――ココにはどう言うんだよ、え?」
ジャッキーは軽いテンションでクラッシュに聞いた。二人は会社の入り口手前にいた。
「何とか言うから平気。別にココなんて恐くないからな」
「まあ、据わっている分には平気だろうね」
「・・・面白がって言ってるだろ」
「そんなことないって」
「ジャッキーはいつもそうやって難を逃れるんだから・・・」
「いつもって、いつ?」
「あ・・・何でもない、忘れて」
「・・・」
「さっ、行くぞ。さっさと終わらせてしまおう」
クラッシュは自分に喝を入れて中へと入っていった。
ジャッキーはその後をノコノコ追いかけた。
中に入ると、さっきもいた受付嬢が、「また来たの?」という目でこちらを見てきた。
クラッシュの姿を見て、尚更厄介扱いしているようにも見える。
(それでも、毛布を被っているだけマシだろう。背中はさすがに見せられない)
「あの、今度はどんな御用――」
「ココに相談しに」
「はぁ・・・では、またこちらから繋ぎますので」
「急いでるんだけどな・・・まあいいや。宜しく」
クラッシュはロビーのソファーにふぅと着いた。
ジャッキーは先にソファーに着いていた。
(ジャッキーは背筋を立てて座った。背もたれにもたれたら、トゲが背もたれをボロボロにしてしまうからだ)
「なんか疲れるな、ああやって話すの・・・儀礼的に、って意味だけど」
クラッシュはジャッキーに言った。
「別にいいじゃん。もう終わったことだし」
「・・・って言うか――」
「?」
「最近体を動かしてないから、もう動きたくて堪んない、って感じ」
「クラッシュって活発なんだね」
「そりゃ、勿論ね。ダンスが日課になってる位だし」
「ふーん。どんなダンス?」
「うーん・・・皮ジャンが無いと気が乗らないな」
「皮ジャン?」
「そう、オイラのモテモテ・ロックの必須アイテム」
「ロック+ダンス・・・?」
「そうだよ、悪い組み合わせじゃないだろ?」
(記憶喪失している)ジャッキーに言わせれば、クラッシュがロックなんて想像も出来ないらしい。
確かに、能天気なところだけを見ていたらそう思うのは当然・・・と言うより必然と言えた。
「ボク、見てみたいな、クラッシュのダンス」
「へぇ〜、珍しいねえ、見たがるなんて・・・あ、いや・・・こっちの話」
「? 何のことか分からないよ・・・で、見せてくれるの?」
「見たい?」
「うん」
「ホントに?」
「うん」
「笑わない? バカにしない?」
「え・・・う、うん」
「・・・やっぱりダメ」
・・・。
ジャッキーは一瞬だけポカンとした後言った。
「だったら最初からダメって言って。期待して損したな」
「だって、毛布――」
「そういうことね。確かに踊らない方がいいかも・・・って、それで答えになるの?」
「どうだろ、分かんない」
「おいおい・・・」
それ以上話題が膨らむこともなく、二人はソファに座って待っていた。
ココは忙しいのか会いたくないのか、中々渋っていたようだ。
とにかく、ちょっと長くかかった気がする。
やっと二人が受付嬢に「お待たせ致しました」と言われたときには、ウトウトしかかっていた。
それでも重たくなりつつある瞼を開き、ココのいる社長室に向かった。
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最終更新日(11.04.13)
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