Chapter13(3/6ページ目)
会いたい、けど会えない

「よしっ。まずはタウナから調べるぞ、ジャッキー」

クラッシュはジャッキーと一緒にビルを出て、一番に言った。

ココには釘を刺されたけど、そんなの気にするもんか。

ジャッキーは苦笑いしながらクラッシュに賛同した。

(クラッシュったら――ん?)

やれやれ、と思っていると。

(そう言えば・・・これまでも誰かに調子を合わせていた気がするな)

うっすらと、洗脳が効いているときの記憶が出てきたようだ。

他にも、今までと似た体験をしていたら、色々と思い出してしまうのだろうか。

「――よしっ、これで良かったっけ」

クラッシュは自信無さげにココの人探し機をいじった。

でも、タウナに会えると思っているからだろうか、とても楽しそうに見えた。

そんなクラッシュをボーッと見ていたジャッキーは、「ほんとにクラッシュが僕の敵だったのかな・・・」と、モヤモヤした気持ちになっていた。

実際、今はすごく親身――と言っても、さっきは頭からジャッキーのことが吹っ飛んでいたようだけど――に接してくれている。

勿論、罠であると言う可能性も無くはないけど、敵だと信じるほうが大変だった。

それに、一緒にいると何だか楽しい。

覚えているのは、北極の空の上で冗談を言い合ったことだ。

そう言えば、あのときは語尾になにか付けていたような――

・・・。

・・・。

「――まあ、いっか」

ジャッキーは、深く考えることはやめにしたようだ。

(今そんなことを考えても、どうにかなるわけじゃ無いからね)

「よしっ、出来たっ!」

ジャッキーは顔を上げた。

クラッシュが、丁度操作を終えて、地図に光点を映し出している。

ちらっと見ると、どうやらとても近くにいるようだった。

「ジャッキー――行くぞ」

クラッシュは、街の繁華街の方面に歩き出した。

ジャッキーも、その後にノコノコと付いて行った。

「あ、クラッシュ」

「何?」

「犬のウンコが」

「えぇ? やべっ」

クラッシュは思わずサッと避けたが、車道側に避けてしまい、事態はさらに悪化・・・

「わ〜っ! 今度はトレーラー!」

前から、トレーラーが猛スピードでこちらに向かってきた。

いくら運動神経の秀でたクラッシュでさえ、走っても避けられない距離・・・

「・・・」

ジャッキーはただ見ているしか無かった。

トレーラーの運転手は、やっとクラッシュの姿を見つけ、急ブレーキをかけた。

が、もう間に合いそうに無い。

無情にも、トレーラーはどんどんクラッシュに近付き・・・

「わっ・・・!」

クラッシュは、思わず地面に伏っつぶれた。

丁度、その上を何トンもの鉄の塊が通りすぎたときだった。

「クラッシュ――」

ジャッキーは呆然としたが、絶望していると言うより、むしろ吹き出したいのを我慢しているように見える。

クラッシュは無事だった。

ヨレヨレと立ち上がり、でも生きた心地が無いような顔をしている。

「あぁぁ・・・助かった」

「ク、クラッシュ――」 「え?どうしたんだ、ジャッキー」

「いや、あの・・・背中が――」

「背中?」

クラッシュは、どこからともなく鏡を取り出した。

クラッシュときたら、色々なものを体に身に付けているからビックリだ。

リンゴを耳の辺りから取り出したり、ヨーヨーもパッと出てくる。

鏡も、同じようにどこかに隠していたのだろう。

クラッシュは鏡に自分の背中を写し出して、自分は振り向いた。

「――!!!」

・・・。

ジャッキーは大笑いしたいのをなんとか堪えながら、クラッシュを人目につかないところに引っ張っていった。

クラッシュは、鏡を見てから真っ白、つまり放心状態になっていた。

そのまま置いて行くのは、クラッシュがとても可哀想だった。

[1]前項(2/6)
[3]次項(4/6)

[*]戻る(クラッシュ・バンディクー 乱れ合う絆)
[0]トップ

最終更新日(11.04.13)
ページ作成