Chapter8(2/4ページ目)
ジャッキーとクランチの焦り

それから5分ほどして、クランチが遅めのお昼を持ってきた。

もう3時は過ぎているだろう、とにかく今日は遅かった。

クラッシュはプレートを見るなり興奮したが――

「わぁ、やっと来たよ・・・って、アレ?リンゴは?」

皿に盛られていたのは、野菜、やさい、ヤサイ・・・それと、少量のリンゴ。

「これで我慢しろ。俺は野菜が食べたいんだ」

「ふ〜ん・・・まあいいや。それより、まだ寝てるよ、アレ――」

ジャッキーはよほど疲れていたのだろう、まだ寝ていた。

起こすのは可哀想だったが――自分たちの敵に対して慈悲の気持ちを持つのも変な感じなのだが(ただ、クラッシュとクランチはそれがジャッキーだと気付いていない)――元々ジャッキーのために作った昼食なのだから、仕方が無かった。

「おーい、起きて――」

クラッシュは優しく呼びかけた、でも熟睡している相手にこう呼びかけても無理がある。

ジャッキーはこれくらいでは全然起きない。

「クラッシュ、それじゃあ起きるハズがねぇだろ・・・せめてこんぐらいはしろよ――」

すううぅぅ――

クランチは息を思いっ切り吸って・・・

「――会議の時間だぞッッッ!!!!!」

耳が壊れそうなほど大きな声で叫んだ。

「ねえ――」

クラッシュがクランチに聞いた。

「なんだ?」

「どうしてさぁ、『会議の時間』なの?」

「いや、何となく・・・な・・・コイツにはそれが似合っている気がした、それだけだ」

「ふ〜ん。そう。むしろ『遅刻だぞ、起きろ!』ってほうが似合いそうだけど・・・目なんか腫れぼったい感じだし」

なんでサラリーマンが言われていそうな言葉ばかり出てくるのかは気にしないことだ。

とにかく、クランチが大声を出したのは大きな効果があったようだ。

ジャッキーはパチッと目を開けて、周りを見た。

そして当然ながら――えらく驚いた。

「あゎゎゎゎ、クランチにクラッシュ・バンディクー!だじょー!」

と。

「!」

「?」

クランチはこの態度に驚き、クラッシュにはどうもピンと来なかったようだ。

「まず聞きたいんだけどよ――」

しばらくして、クランチが話を切り出した。

「――お前は誰なんだ?」

「へっ?――いや、別に動転した訳じゃ――」

「なんで慌ててんの?」

クラッシュは片方の眉をつり上げて、ちょっとだけ訝しそうに聞いた。

「慌ててなんかいないじょー・・・」

ジャッキーは慌てて笑顔を取り繕った。

しかし、目が笑っていない。

「『じょー』?そういえば、こんなヤツがコルテックスの野郎に慕ってしたような気がするな――なぁ、クラッシュ・・・いたよな、こんなヤツ」

「・・・?いたっけ?」

「ああ、もういいや。・・・で、まだ答えは聞いていないぞ。お前は誰だ?」

クランチが詰問する。

「ボクちんは――え〜っと――」

・・・。

・・・。

「――ジャックだじょ!」

「ジャック?」

クラッシュとクランチは同時に言った。

そして、クランチは「いや、ちょっと待てよ――」と考え直し、クラッシュは「そうなんだ。ジャックって言うんだー」と早くも友好的に迎え入れた。

(ほっ・・・この場は何とか乗り切ったじょー。でも、ここにいても何も出来ないじょー・・・)

ジャッキーは持ち前の口のうまさで何とかここまでこれたものの、これでは何も出来ない上逃げられそうにもない。

ジャッキーが攻撃を仕掛けても、体力的にも人数的にも無勢だった。

クランチは意味深に考え込んでいる。

クラッシュはそんな様子に気付いて、一旦ジャッキーの手を握っている手を離した。

「?・・・何かピリピリした空気だよ?」

「いや、あのさ――」

クランチはクラッシュにしか聞こえないぐらい小さな声で喋った。

「アイツ、コルテックスの手下じゃねえか?」

クラッシュは一瞬の間キョトンとしてから――

「え〜っ!!!」

と大声で叫んだ。

クランチは驚いて、身体中の毛がビクッと逆立った。

ジャッキーは何事かと思って遠目からじっと見ている。

「アイツが、コル――」

クラッシュが何か言おうとしたが、クランチに手で口を押さえられたので、モガモガした。

(バカ!ここで喋るんじゃない!危ないだろ!)

(それより、クランチの手、汗臭いよ・・・)

それでもまだ手を押さえたまま、クランチは話を続ける。

「アイツ、本当はジャッキーって名前だったと思う。いつか戦わなかったっけな、ウン」

「覚えてないや。でも、そうだとしたら危なくない?」

「なら、どうにかしないとマズいな・・・」

「追い出しちゃえば?」

「そうだな・・・」

「何をヒソヒソ話しているじょー?」

ジャッキーが割り込んできた。

「あ――」

微妙に緊張が走る。

互いに敵同士だから、尚更気まずかった。

家の中はシーンとして、空気までその中に入り込む。

「な――何でもないよ」

今の空気が無かったかのようにクラッシュが言った。

「ふ〜ん・・・」

あまりにもバレバレ過ぎて、ジャッキーには飽きられているようだ。

こんな調子で、今日のこの時間が過ぎてゆく。

もし、ココが戻ってきたら。

そして、もしココとジャッキーが顔合わせしたら・・・。

家の中は、天地をひっくり返したような騒ぎになってしまう。

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