Chapter6(5/6ページ目)
張込開始

「――おじさん、そんなことで悩んでいたの?」

ニーナの微妙に軽蔑した感じの声が、受話器を通してコルテックスの耳と頭に入ってきた。

「あ、ああ・・・今までの自分を見返してみたらな、そんな気がしてきたんだ・・・」

ショボンとした声はそのままニーナに届いたことだろう。

ニーナは今まで以上にハッキリと言ってきた。

「そんなことで悩んじゃだめだよ」

「えっ?」

「そう思っていたら、悩んでないで部下に優しくしてみたら?何にも始まらないよ」

少しの間、シーンとなってお互いに考えていたようだ。

「なるほど。確かに理にかなっているな。ワシから何かやらないと、何も変わらないな」

「そうよ。あたい、おじさんのことを尊敬している。自信の無いおじさんなんてイヤだもん」

この言葉は完全にコルテックスを感謝の気持ちにさせた。

「ニーナ・・・ありがとう。その言葉、とっても、とっても嬉しいよ」

「ほら、頑張って。きっとまだ大丈夫だから」

「分かった。励みになった。おじさん、頑張るからな――ところで・・・」

「何?」

「何で、受話器から波の音が聞こえてくるんだ?研究所にいるかと思ったが・・・今、何処にいるんだ?」

コルテックスの受話器からは、明らかに波のザザーンという音が聞こえてくる。

「ちょっと表の海岸に出ただけよ。気にしないで」

「・・・島から出るんじゃないぞ。危ないからな」

「うん・・・分かってるよ・・・じゃあ、頑張って。おじさん」

「あっ、ちょっと待て、ニ――切れた・・・」

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最終更新日(10.02.07)
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