Chapter6(2/6ページ目)
張込開始

「たっだいま〜♪」

クラッシュは家の丸いドアを叩きながら言った。

両手がリンゴで塞がっているからドアを開けることが出来ないのだ。

ちょっとしてから中からガチャッという音が聞こえ、ココが出迎えてくれた。

「あらっ・・・お兄ちゃん・・・」

ココの顔に太陽のように輝いていた笑顔が少しだけ陰った。

その顔が、「リンゴしか持っていないの?」と言っている。

「別にいいだろう、リンゴだけでも。このリンゴ、アーネストから貰ったんだ。『ワンパの木が育ち過ぎたからお裾分けするよ』って・・・嬉しいなぁ」

クラッシュは目の前のリンゴにしか目がない。

「あっ、あの人か。向こうの海岸で農業をしている・・・『崖の上のエミュー』ね」

「そうそう、その人。アーネストって、2004年の『ワンパの木 品評会』で優勝したんだぞ。オイラがバネバネ虫の駆除を手伝ったんだ」

クラッシュは「エッヘン」と言わんばかりに胸を張る。

「なら、これはおいしいのだろうけど――リンゴが無いって叫ぶことはないだろうけど――私は夜ご飯のおかずの材料を頼んだのよ」

「ア・・・」

「まあいいわ。これでなんとかする――クランチー――」

ココは家の奥にいるクランチを呼んだ。

「今日の夜ご飯、リンゴのオードブルになりそうだけど、それでもいいかなあ?」

家の奥のほうからくぐもった声が返ってきた。

「えぇっ・・・アー、牛乳も無いのか・・・?」

「ええ、無いわ。お兄ちゃんがエミューからリンゴを両手いっぱいにもらってきたんだってぇ」

「しゃーないな。じゃあ、カロリーと塩分が少なめなのを頼むよ」

「あら、クランチは運動するんだから、塩分は取ったほうがいいんじゃないの?」

ココはフフッと笑いながら言った。

「ま、それもそうか。なんなら任せるぜ」

「お兄ちゃん、夜ご飯が出来るまでさ――って・・・あらら・・・」

クラッシュは既にリンゴを頬張っている。

目の前にリンゴが山ほどあるから、我慢できず手を伸ばしてしまったのだ。

リンゴは、もう半分以上無くなっていた。

ココは「あああっ」とすっとんきょうな声を上げたが、クラッシュはけろっとしたまま。

「もうこれは笑うしか無いわ、アハハ・・・」



「はぁ、何だか楽しそうだじょ・・・」

ジャッキーは今の様子をじっと見ていたが、アットホームな雰囲気にクラクラさせられそうになった。

「そういえば、ボクちんの本当の家ってどこにあるんだろう・・・夜に外でじっとしているのは辛いじぇ・・・それより、エミューって誰だじょ?」

ジャッキーはちょっと考えた末、コルテックスに連絡することにした。

分からないことはなるべく少ないほうがいい。

ジャッキーはそう考えたのだ。

暫くして、電話が繋がった。

「もしもし、コルテックスだが」

もう、この返事は定型文のようになっていた。

「もしもし、ジャッキーだじょー――えーっと、聞きたいことがあるのですが、よろしいですか、だじょー」

「ん?何だ、急にかしこまって」

「別に大したことは無いんだけど、エミューとかいうやつのことが知りたいじょー」

「アー、誰だったかな・・・そうだ、思い出したぞ。結構前に、ワシが光線銃で気絶させたやつだ。アイツがどうかしたのか」

「いや、ちょっと聞きたかっただけですだじょー」

「何か新しい情報はあるか?」

「えーっと、今はみんな家にいてくつろいでいるじょー。特に変わったことは無いじょー」

「そうかそうか、良かった・・・では、引き続き頼むぞ。次の報告を待っている。じゃあな」

コルテックスは急いで電話を切った。

ジャッキーは突然電話を切られたので面食らってしまったが、また見張りに戻った。

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最終更新日(10.02.07)
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