Chapter2(3/4ページ目)
海岸にて
ところで、この中で一人物静かにしているのがいた。
ココが最初に気付いた。
「アクアクさん・・・具合でも悪いの?さっきからずっと静かにしているけど・・・」
「アクアクは爺さんだからゆっくり休みたいんじゃないの?」
クラッシュは相変わらず能天気だ。
「いや、そういう訳じゃないんしゃが――」
アクアクは心配そうに言った。
「アクアク、何か隠しているんじゃないのか?まさか、またコルテックスの野郎か・・・?」
クランチが不安そうな、でも威勢のいい感じで言った。
びくつきを隠そうとしていたのかもしれない。
アクアクはヒソヒソ声で話し始めた。
他の三人は額をくっつける位近づかないと聞こえなかった。
「うむ・・・実はな・・・何だか誰かにずっと見られている気がするのじゃ・・・わしたちを、ずっと・・・付いたのはさっきなんじゃが、どうも嫌な感じがするのじゃ。たまに森からガサカザ音もする。あれは普通の小動物の立てる音では無いし、原住民の立てる音でもなかろう。第一、あの者達はこちらには来ぬ。まさにイヤー(耳)にイヤー(嫌)な音が入ってくるのじゃ」
クラッシュ達は一瞬冬が来たかと思ったが、原因は別にあるようだった。
が、すぐに仕切り直して、ココが聞いた。
「じゃあ、私ストーカーされてるの?!そんな・・・恥ずかしいよ・・・」
恥ずかしいと言うココに、クラッシュは反応した。
「恥ずかしい?普段から凄いことをしてるくせに・・・忘れないぞ、オイラがダンスをしているときに爆弾で――グヘッ」
ココはクラッシュにカラテキックを入れて黙らさせた。
そして、顔を赤くしながら「あれはずっと前の話でしょ?今はもう、あんなことはしないわ」と熱っぽく言った。
(思いっきり暴力してるじゃん!・・・あ〜、痛い・・・可哀想なオイラのおなか。腫れちゃった――)
クラッシュは自分の中で自分を哀れみた。
その場に居るのが気まずくなったクランチは話題を変えるように言った。
「な・・・なあ、もし見張られてんだったらよ、家に戻ったほうがいいんじゃねぇか?」
「そうじゃの・・・そのほうがいいかもしれぬ」
「えっ、まだ日光浴も、サーフィンだってしてないのに?」
「クラッシュ、今はそれどころではない。善は急げ、じゃ!努力を怠らないカメは怠けウサギに勝つのじゃ!」
「何それ・・・まあいいや。分かったよ、逃げよう」
ココを先頭に、一行はクラッシュの家に戻った。
急ぎだったので、ビーチボールやサーフボードなど、そういったものはビーチに置きっぱなしにしていた。
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最終更新日(09.08.27)
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