Chapter9
翌日。
またもや、ベンとグウェンは一緒に公園にいた。
そう、グウェンがベンを呼び出したのだった。
出かける前、グウェンはマックスに事情を説明し、提案にちゃんと納得してくれた。
「――で、ボク達はここにいるわけ?」
「そう、またちょっと散歩でもしたくなったからね。一人だけだとつまらないんだ、存在感が無くてもいないよりはマシって感じ」
「へいへい、そうですか、もう口答えする気にもならないや」
「うーん、ちょっと言い過ぎたかな・・・それより、散歩なんだからベン、あんたも歩きなさい。ブクブク太ったグレイマターなんて見たくないよ」
「そうだな・・・歩くか」
実は、ベンを先に歩かせるのはグウェンの計画だった。
二人はあの場所までやってきた。
ベンが電動ブーメランのせいでグレイマターに変身してしまった場所。
本当はベンもグウェンも来たくは無かったが、グウェンはあることをするにはここしかないと考え、嫌々ながら再び訪れたのであった。
「そう、丁度ここら辺だよね」
「・・・」
話したくもない、当たり前かもしれない。
でも、ベンはあのとき、とても喜んでいた。
気のもちようで、事の捉え方は大分変わってしまうようだ。
今日は、あの時とは違いとても晴れ渡った空で、まさに快晴だ。
グウェンはこっそりと作戦を立てた。
(よし、もうそろそろやらなくちゃ。『ゴーストフリークだ!』とか言えばベンのことだし、きっと騙されるよね、しかもビビりながら。
そしたら、すかさず背中のオムニトリックスを私が蹴る・・・うまくショックを与えられれば、元のベンに戻るはず!)
グウェンはさも驚いたかのように言った。
「あっ!ベン、あそこにゴーストフリークが!」
「んな馬鹿な、いつかやっつけなかったっけ・・・?」
ベンはキョロキョロしている。
「今だ!ごめん、グレイマター!」
グウェンは、ベンが「どうしたの?」と振り向く前に、背中のオムニトリックスを思い切り蹴った!
「んぎゃ・・・」
ベンは倒れて、グレイマターの顔が地面にめり込んだ。
相当強く蹴ったようだ。
しかし、効果はあったようだった。
オムニトリックスはいつもより赤い光を発し、またビリビリ鳴って、ベンを赤い光で包み込んだ。