Chapter8
・・・ん、う〜ん・・・。
良く寝たなあ。
今日はぐっすり眠れちゃった。
心配事が一つ減ったからかな、多分。
あの子、ベンと違ってしっかりしていた。
ベンがあんないい子になったら嬉しいけど、でもそんなの、気持ち悪い!
グレイマターのベンだって嫌じゃないけど、早く元に戻る方法を見つけないと、可哀想な気がするんだ。
本当に、どうすればいいのだろう。
それはそれとして、おじいちゃんが言うには、もうそろそろこのキャンプ場を出る、とか言っていたっけ。
だから、ちょっと近くの街をぶらっとしてみようかな、とか思っている。
たまには普通の女の子みたいに買い物したり、街で遊んだりしたい。
友達にもあまり会っていなかったな。
急にいろいろなことがやりたくなった感じ。
何だか自分の中で意見が葛藤している。
夏休みが終わって欲しくない気持ちと学校に行きたい気持ち。
ベンの性格にイライラしながらも、今の性格でいてほしい気持ち。
私、どっちを選べばいいんだろう。
まあ、今気にしても仕方がないから、顔を洗って、朝ごはんも食べて、その後に考えればいい。
そんな余裕はないかもしれないけど。
「さ、とりあえず起きなくちゃ・・・」
私はうーんと伸びをして、ベットから起き上がった。
私はまたおじいちゃんに頼み込んでいた。
「ねえ、おじいちゃん。今日もまたぶらっとしてきてもいいかな?」
おじいちゃんは私に逆に尋ねてきた。
「お前、風邪はもう治ったのか?」
「うん、もうピンピン」
「そうか、良かった」
私はウズウズしながら言った。
「ね、行ってもいいでしょう?最近買い物とかしていないし、お店巡りだってしたいんだ」
「・・・まあ、そういうことならいいだろう、気を付けて行っておいで。ところで、ベンは・・・?」
「まだ寝てる」
「まあ、ベンと買い物に行ったらどうなるか分からないし、一人のほうがいいだろうな」
「うん、言えてるかも・・・。じゃ、行ってくるね」
「ああ、行っておいで、だが、あまり遅くなるなよ。明日ここを出るからな、今日の夜のうちに準備を済ませたいんだ」
私は、またまた太陽がギラギラと照りつける外へと飛び出していった。
もちろん、日焼け止めも忘れずにねっ。
目の前で街が歓迎しているようだった。
人々は、通りをせわしなく往来している。
私は久々に心ゆくまで都会ライフを楽しもうと思っていた。
いろんな洋服とか、靴とか・・・とにかく、ファッション!
ファッションを楽しみたいな。
最近は本当にそういう余裕がなかったもの・・・。
「お金はないけど、ウインドーショッピングを一杯するぞ!」
私は自分にそう言い聞かせて、実際にたくさんの店でウインドーショッピングをしたのだった!
私は、もうそろそろ車に戻ろうかと思った。
もう陽も傾いてきた。
まだ廻りたいところはあるんだけど仕方がないよね。
私は帰路につく。
都会の流れから抜け出し、ゆったり流れる小川のような世界に向かう(もっとも、ベンとおじいちゃんと一緒にいるときは忙し過ぎて目が回りそうだけど)。
途中、小さな電気屋さんがあった。
別にそれほど興味があったわけじゃないけど不思議と見たくなって、ショーウインドーのテレビを見た。
「・・・あれ、この放送、今の私達の状況にそっくり・・・!そうだ、いい考えが浮かんできた!」
私は大急ぎでキャンプ場に戻った。