BEN 10 小さな問題 その2


-サイトマップ -戻る
Chapter5

「ベン、グウェン、もう夜も遅い。もう寝よう」

その日の夜。
ベンとグウェンは、話し合っていた。
勿論、ベンの今後についてだ。
結局、この日は元に戻る方法を見つけることが出来なかった。
二人とも、何か案が出かかっていたが、そこまでだった。

「今、オムニトリックスをいじっても駄目なの?」
「うん、何も反応しない。何か鍵みたいなのはないのかな」
「あればとっくに元に戻れてるはずでしょ。ていうか、鍵があるなら変身自体出来なかったんじゃない、今まで・・・」
こんな感じで、互いに案を出しあってはいや、やっぱり駄目だろうと案を取り消すことを繰り返していた。
案が詰まってくると、どうしてもネガティブになってくる。
そして、いらいらしてしまう。
つまり、二人は話し合いから喧嘩になってしまったのだった。
「あんた、今はグレイマターになっているんだから、頭の回転がいいんでしょ、何か良い案でも出したら?自分の事でしょ・・・」

「ああ、ボクは今、グレイマターになっているよ。でも、一人じゃ何も思いつかない。
 先に『考えてみようよ』って言ったのはグウェンだぞ」

同じ日に、互いに和解しあっていたのが嘘みたいだ。
あれはもう何日も前の出来事のようになっていた。
「私、もう寝る。風邪がひどくなるかもしれない・・・」
「そう・・・おやすみ」
ベンには、グウェンのすすり泣きは聞こえなかった。
グウェンは、勝手にすすり泣きしてしまう自分を恨んだ。


もう夜中の3時は回っただろうか。
グウェンは、どうも寝付けなくて、窓の外を眺めていた。
鍵は開けないように言われていた。
風邪がひどくなるからだ。
しかし、今のままでも体と頭はボーッとしていた。
そんな状態で、グウェンは一人反省していた。
ベンにひどい思いをさせてしまった。

きっと、怒っているんだろうな・・・。
どうやって・・・謝ろう・・・
もし、許してもらえなかったら?
もし、解決策が見つからなかったら?

――グウェンの頭の中は、『もし』で一杯だった。
マックスは『もし』なんてあまり使うもんじゃない、と言っていたのだが・・・
そう考えているうちに、一つの答えに行き着いた。
今考えても仕方ない。
やっぱり、一人悩むのは良くないと思ったグウェンは、ひとまずトイレに寄る。

数分後、グウェンは用を済ませ、寝ようと思った。
しかし・・・
(何か喉が渇いてきたな、水でも飲もうっと)

キャンピングカーの流しは、様々なもので溢れかえっている。
自分のコップを見つけることさえ簡単には出来ない。
今日はすぐに見つかるかな、と思いながら、グウェンはコップの山を開拓していく。
そのとき、ふとコップの脇を見ると、メモが置いてあるのに気が付いた。
こんな場所に置いたら濡れてしまうと思ったグウェンは、ボックス席のテーブルにでも置いておこうと思い、メモの内容を見てみた。
「うゎ、小さい字。でもまだ読める大きさだ・・・ベンが書いたのね」
どうやら日記らしい。
「・・・ええい、ちょっと読んじゃえ、バレないよね、きっと」


『今日は、何もないつまらない日になると思っていた。
 でも――

こんな出だしで始まり、今日の出来事が事細かに書かれていた。

――ボクは、悩んでいる。
グウェンに嫌な思いを沢山させてしまった。
謝りたいけど、もし許してもらえなかったら・・・』


ここで日記は終わっていて、最後には四本指の手形がおしてあった。
今のままでやっていこうという決意の表れだろうか。
グウェンは、これを見て、互いに気まずい気持ちでいることを知った。
でも、グウェンは見なかったことにした。
どう見ても、誰かに見せるために書いたとは思えない。
見なかったことにするのが一番いい、今のところ。
今度こそ、グウェンは横になった。
それからはぐっすり眠ることが出来た。