BEN 10 小さな問題 その2


-サイトマップ -戻る
Chapter2

さて、ベンとグウェンは公園の真ん中辺りまでやって来た。
さっきまでブツブツ言っていたベンも、折れたのか、割と素直になっていた。
グウェンは、ベンも意外と成長したじゃない、と感心していた。

そうか。
相手の気持ちになって考える。
そうだ、ずっと忘れていた。

グウェンは、イライラするあまり、率直に言い過ぎていた。
「私も、自分の行動を見直さないといけないのかな・・・」
と、小声で独り言を呟いた。

一方、ベンもちらっと反省していた。
(周りの人のことを考えろ、か・・・そうかもしれない。ボクはグウェンやじいちゃんに迷惑を掛けていたのかもしれない。
ボクはグウェンにいろいろ言われるとムカッとしちゃうけど、グウェンや、もしかしたらじいちゃんとかにも・・・よし、今日はいつもよりみんなの言うことを聞こう)
ベンも、珍しく反省。
そんな二人に、誰のいたずらだろうか、まるできっかけを作りかけるように優しく風が吹いてきた。

「あっ・・・」
二人同時に言葉が突いて出てきた。
「グウェン・・・ごめん、わがまま言い過ぎたよ」
「いや、私もいつも厳しく言い過ぎたよ、ごめん」
・・・。
「ハハッ、おあいこだな」
「あのさ、もうゲーセン行っちゃおうか」
「いや、15分散歩してからって・・・」
「ああ、もういいんだよ」

何だか怖いほど和気藹々としてきた。
こんな二人を祝福するように、辺りで青い小鳥がさえずる。
ただ、こんな時にツキモノなのは他でもない、ハプニングだ。
それを暗示するかのように空模様はあっという間に悪くなっていた。


公園の出口まで来た。
空は、今にも雨が降りそうな雲で覆われている。
周りの人も、天気を心配したのか家路に就く。
ベンとグウェンは、ゲーセンのあるほうに行こうとした、が。
「ねえ、ベン。私達もそろそろキャンピングカーに戻らない?私達、傘は持っていないじゃない」
ゲーセンに行っている間に雨が降ってきたら二人とも濡れ鼠になってしまう。
「うん、その方がいいな」
互いに気を遣うから、二人とも疲れてしまった感じだ。

いよいよ、空は暗くなり、雨を降らそうかどうか迷っているようだった。
二人は、公園を逆戻りすることにした。
その方が早く戻れて、マックスおじいちゃんに心配をかけずに済むはずだ。

今の二人に、言葉は要らなかった。
むしろ、何か言いたくても言えなかった。
その場に適した言葉が見つからなかった。
ベンは、少しカッコつけたように両手をズボンのポケットに突っ込み、ぼんやりと曇り空を眺めている。
グウェンはそんなベンを、少し不思議な表情で見ていた。
その顔は、こんなベンもあるんだ・・・と語っているように見えた。

しかし、そんな二人に運命は味方をしなかった。
先にグウェンが気付いた。
「ベン!危ないッ、前!」
「えっ、何、グウェ・・・!」
前から何かが回転しながらベンのいる方に飛んできた。
突然のことで、避けられなかった。
こんなとき、人は駄目と分かっていてもつい防御をしてしまう。
ベンは、無駄と思っても手と腕で体を守ろうとした。
回転しながら飛んできたモノは、運悪くベンのオムニトリックスに直撃した。
「ぐわああぁぁっっ!」
ベンが叫ぶ。
相当な衝撃だったようだ。オムニトリックスは、ビリビリと音をたて、強い光を発し始めた。
グウェンは、その光のせいでベンがどうなっているか見ることが出来なかった。
「ベン!ベーンッ!」

・・・。

返事がない。
「あぁぁっ・・・・・・」
グウェンは、半分放心状態になっていた。
その時、悪い事件を暗示するかのように、雷が鳴った。
その雷は、今のグウェンの気持ちを絵に表したようだった。
ベンがどうなってしまうのか、その考えで一杯だ。