Chapter8(2/3ページ目)
耐久体験?ロングサーキット

バラートは、まあまあ順調に行き、ファニーギャロップの後ろに。

この二台、性能の特性が似ているから、激しいドッグファイトの展開になるかもしれない。


ハセガワ3131は、スタートしたときと作戦が変わったようだ。

最初に少し差をつけて、後々ゆっくり走ろう、という作戦みたい。

だから、アグネスはさっき、彼に会う前にブラウンドッグに会った、というわけだ。

しかし、どうやってブラウンドッグを抜かしたのだろう。

実は――


「あのハセガワ3131のヤツ、すんなり俺を通したよな・・・もしかして俺が強すぎて勝てないと思ったとか?!いやー、俺も名が知れるようになったものだなー」

ブラウンドッグは完全に浮かれあがっている。

「前回のレースの優勝者をビビらせるなんて、俺カッコイイ〜」

とか言いながらコースを走行していた。

しかし、トンネルでスピンしてしまった。

浮かれすぎた結果だ。


――という訳で、レースに集中していなかったブラウンドッグは自滅した。

なんともかっこ悪い様である。

アグネスは、案の定ブラウンドッグをなかなか抜かせなかった。

「お願いだからどいてくれよ、こっちもイライラしてくる」

「レースでそんなことする馬鹿いるはずないだろ?」

「だから・・・(そうだ!ずっと話しかけてレースから気をそらそう!)」

「だから・・・何なんだ?」

「えっと・・・そういうこと」

「は?」

「だ、か、ら、どいてくれないとイライラしてくるって言っているんだ!」

「そんなムキになるなよ・・・ま、そんなことしたってどかないけど」

「じゃあさ、どいてくれたら1000Gあげようか?」

「本当か?」

「うーん、どうしようか。あげてから逃げてもらっても困るし・・・」

「そんなことしないさ」

「ふーん、ところで・・・(よし、もうこれは勝ったな)」

「?」

「前を見ろ!」

「えっ、、、!!!」

ブラウンドッグは2つ目のトンネルのカーブでぶつかった。

「じゃあね、ブラウンドッグ。あ、やっぱり1000Gあげるのはやめにしておくよ、実は今金欠だから」

アグネスは、橋を渡り2周目に入った。




中間順位
1位 ハセガワ3131
2位 アグネス
3位 ブラウンドッグ
4位 マルサン
5位 バラート
6位 ファニーギャロップ
7位 スーパー4WD
8位 クワーノ
9位 パープルシャドウ
10位ベンジー




ロングサーキット2周目。

まだピットインするチョロQは誰もいない。

アグネスはホームストレートでハセガワ3131を捉えた。

「よし、アイツは直線の伸びが悪いから直線で――」

アグネスは、バックストレートで勝負を賭けることに。

しかし、それまでは後ろの敵にも気をつけなければならない。

ブラウンドッグは加速がいいからすぐに追いつくだろう。

マルサンだって、ベテランなのだからさっきみたいなミスはしないはずだ。

バラートもやっぱり侮れない。

最近不調かもしれないけど。

ここで飛ばしてタイヤをすり減らすか、ゆっくり走ってタイヤを温存するか、これは重要だ。

どうしよう・・・

(一応ハセガワ3131の後ろにくっついていこう)


S字コーナーを抜け、ヘアピンカーブに入る。

ここでブラウンドッグ、マルサン、バラートが追いついてきた。

「うそ?もう来ちゃったの?でも2位は守り抜く!」

「フン、そうはいかない。さっきはよくも!」

「ワシもあんなミスはもうしないぞ、覚悟しとけ」

「俺を忘れるなよ、アグネス」

ここは一か八か、ドリフトしかない!

(・・・いくぞ!)

アグネスは、アクセルをベタ踏みしてタイヤを滑らせる。

辺りにスキール音が響く。

(コイツ、ヘアピンの前で何する気だ?)

(こやつ、ドリフトするな、タイヤは長く持たない・・・)

(さすが俺のダチだな!俺もやってやる!)

バラートも後に続く。

2台はドリフトに成功し、後の2台を引き離す。

「ぅわ、バラートもドリフトしてたの?」

「おうよ!あんな奴らにも、お前にも負けちゃいられねぇ!」

「さすが、レースには燃えてるな、バラート」

アグネスとバラートはバックストレートでハセガワ3131に追いつく。

「よし、このまま抜かす!」

「そうはいかないよ!僕のブロックの練習した成果を見せる!」

意外にもしぶとかった。

ハセガワ3131は性能で負けるタイプだが、それをテクニックで補うタイプになったようだった。

アグネスが苦戦しているうちに、バラートに抜かされてしまった!

「じゃあな!先に行ってるぜ」

「あ、抜かされちゃった――でもアグネス君には勝っ・・・あれ?」

アグネスは、一瞬の隙を突いてハセガワ3131を抜かした。

久々にバラートとタイマンになるかもしれない・・・


しかし、バラートはとても速くなっていた。

そのまま橋の前まで来た。

「なかなかスキがない・・・ていうかタイヤが――」

アグネスのタイヤは、既にかなり磨り減っていた。

ドリフトをしたのが原因らしい。

「まだ2周目だけど、ここは安全策をとって・・・」

2台はホームストレートに戻ってきた。

アグネスはピットインした。

バラートはそのまま走り続ける。

(ちょっと早いかもしれないけど、後で抜き返す・・・!)


このすぐ後に、ハセガワ3131がホームストレートに戻る。

アグネスには気づかず、3周目に入る。

マルサンとブラウンドッグもそのまま3週目に。




中間順位
1位 バラート
2位 ハセガワ3131
3位 マルサン
4位 ブラウンドッグ
5位 アグネス
6位 ファニーギャロップ
7位 スーパー4WD
8位 ベンジー
9位 パープルシャドウ
10位クワーノ




「よし、ここから一気に挽回してやる!」

5位で3周目を迎えたアグネス。

快調に進み、S字コーナーやヘアピンカーブを楽々パス。

ヘアピンカーブでは、マルサンがまたもや曲がりきれずに壁に激突していた。

やっぱり年なのだろう。

年には勝てまい。

もしかしたらタイヤのライフが長すぎて全然温まっていないとか・・・

マルサンは、ここは潔くリタイアしよう、と決めた。


バックストレートに入り、ブラウンドッグとハセガワ3131を捉えた。

アグネスはスリップストリームに入り、一気に抜こうとする。

ただ、ブラウンドッグがアグネスに気づき、ブロック。

しかし、ブラウンドッグのほうが軽いので効果は薄く、アグネスはブラウンドッグを抜かし3位に。

(っく、やっぱり成長したな、アイツ・・・)


(・・・バラートはまだ見えないのかな・・・)

小さなシケインを通過し、現在3位だ。ハセガワ3131と並走だ。

バラートは相当飛ばしたらしく、既に2つ目のトンネルを通過したみたいだ。

その時、遠くで雷の音がした。

(ひぇ、この雲って嵐・・・?少しヤバくないか?)

こんなことを考えていたら、いつの間にかハセガワ3131がチョロQ6台分ぐらい先にいた。

「いけない、集中しなくては・・・」

アグネスはハセガワ3131をフェイントで引っ掛けて抜かし、2つ目のトンネル(正確には洞門?)を通過する。

橋を渡ってホームストレートに戻る。

バラートがいた。

今ピットインしているところだ。

この隙に抜かして、アグネスはトップに躍り出る。

ハセガワ3131とブラウンドッグもピットインした。

(そういえば、タイヤはゴールまで持つかな・・・2周交換のペースで来ているから、5周目でピットインしないとマズいかも・・・)


4周目。

ピットインしなかったアグネスが2位に大差をつける。

タイヤはまだ持ちそうだ。

というか、今が最高潮。

差をつける最大のチャンスだ。

「よし、今のうちに引き離す!」

アグネスはアクセルを踏もうとした。


その時、ついに雨が降ってきてしまった。

そう、オールラウンドタイヤは――

でも、出場者のほぼ半数はオールラウンドだったはずだ。

他のチョロQも同じ状況下にあると思うと、アグネスの焦りは少し消えたようだ。

それに、まだ降り出しで霧雨だから、なんらレースには影響は無い。

本降りになる前だったら・・・

アグネスは、少しだけアクセルを入れようとした。

ただ、思い留まってしまった。

(耐久レースでこんなことをするのは馬鹿・・・だよな――)

と思ってたら――。

「いぇーい!ピットインして調子が良くなったぜぃ!」

(あ、馬鹿が来た・・・じゃない、じゃない。相手を馬鹿と呼ぶなんて、卑劣すぎる。でも、あの声はブラウンドッグだ。あの人はやっぱり馬・・・いや、言ってはいけない!・・・って、またレースに集中できなくなった!悪い癖だ・・・)

こんな長い感想を言った後、アグネスはブラウンドッグをブロックしようとした。

ただ、やっぱりかわされた。

「お前、なんかトロくなっていないか?」

「え?!あー・・・そうでもないさ」

「ウーソまーる出ーし!!まるで清掃車を見ているようだぞ!」

「さっきの仕返しのような言葉だな・・・無視、無視・・・あんなに飛ばしたら最後の最後で負けるな」


そうこうするうちにバックストレートを過ぎ、トンネルに入る。

なんだかあっと言う間に雨足が強まってきたようだ。

トンネルを出たときには、ワイパーを使わなくてはならない程に。

しかも、走っているうちにどんどん雨が強くなる。

視界も悪い。

もうオールラウンドでは限界があるかも・・・


このころバックストレートでは、バラートがハセガワ3131に抜かされていた。

タイヤが大きく影響しているようだ。

「雨が降ってきてから調子が出ない。バーニング走行ができない。もしかして、タイヤが悪いのか?オールラウンドにも弱い路面はあったのか・・・でも!ここで引き下がらない!絶対アグネスに勝ってやる!ただ、ブラウンドッグのような馬鹿はやってはいけないな。ゆっくり、確実に行く!」

いろんな人に馬鹿といわれているブラウンドッグ、可哀そうに・・・

バラートは、タイヤがスリップしない程度にアクセルを踏み、ハセガワ3131を追った。


アグネスは苦戦していた。

チョロ砂漠も過酷な条件ではあった。

でも、今回のレースもかなり過酷だ。

アグネスは既に結構へばっていて、少し運動性能が落ちていた。

まあ、スリップしにくいのだからいいけど。

雨は、止まるところを知らずどんどん強くなる。

早くゴールしないと・・・。


後方集団は、オールラウンドを履く車が少なく、あまり影響を受けていない。

あまりスピードに変化は無い。

ベンジーは、少しずつクワーノ達から差を広げた。

「少なくともスーパー4WDぐらいは抜かしたいよなあ。前回は2位だったのに・・・」

「俺を抜かす?!できるモンならやってみろ!」

「(じゃあ、遠慮なく・・・)体当たり!!」

ベンジーはヘビー級の車体でスーパー4WDに体当たりをした。

スーパー4WDは、安定をなくしスピン、復帰したときには最下位になっていた。

「くそ・・・挑発しなきゃ良かった・・・」



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