Chapter17(2/2ページ目)
「らしい」と「らしくない」
クラッシュが思慮深げにしていると、ジャッキーがツンツンとつついた。
「何考えてるの?『らしくない』ね」
クラッシュは考えるのをやめて、慌てて言った。
「えっ、な、何が『らしくない』って?」
「クラッシュがクラッシュ『らしくない』って」
「アー、つまり・・・」
「クラッシュが考え込んでいるのって、すごく珍しいじゃん」
「まぁ、そうかもね」
「だから『らしくない』んだよ」
「何だよ、たまには考え事したっていいだろ」
「うん、まあね――ところでさ、何考えてたの? まだ答えてないぞ」
クラッシュは一瞬息をつまらせた。
ごまかすか、言っちゃうか。
「・・・」
「・・・?」
「・・・タウナのこと」
結局、はぐらかすことにした。
「なんだ、そのことか」
「『なんだ』って、オイラにしてみりゃ重要なことなんだぞ」
「だって、わざわざ隠す必要なんてなかったでしょ」
ジャッキーは少し横目に言った。
「ボクもそのことはよーく分かってんだからさぁ、もっとオープンに行こうぜ」
「な、なんだよ、うるさいな」
クラッシュは、その目を無理に逸らした。
とても不器用だった。
「まぁいいや、朝ごはん食べよう、クラッシュもペコペコだよね」
ジャッキーは深く掘るようなことはしなかった。
「今日はボクが何か作るよ、リンゴいっぱいの朝ごはん」
「ワォ、そりゃ楽しみだな」
クラッシュは明るい声で応えた。
「ハハッ、クラッシュ『らしい』や」
「えっ?」
ジャッキーは、ひょいと立ち上がってキッチンへ向かった。
「さ、早いとこ作っちゃお・・・」
「なぁ、さっきからオイラのこと、弄んでるだろ」
「なんのことぉー?」
キッチンからジャッキーのだみ声だけ返ってきた。
「さっきから『らしい』とか『らしくない』とかぁー、ちょっと生意気だぞぉー」
クラッシュも大声で返した。
そして、よっこいしょと立ち上がり、ジャッキーを手伝いに行った。
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最終更新日(11.04.13)
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