Chapter12(1/4ページ目)
洗脳が解けた・・・?

「クラッシュ」

「どうしたの、ジャック」

(念のため一度断っておくと、ジャッキーはジャックの名でごまかし通している)

「どうやってタウナを探すの?」

「あれ、今までじょーじょーうるさかったのに・・・」

「えっ、そういえば――どうしちゃったんだろう」

ジャッキーは、自分の癖がひとつ消えていることに、自分でも訳が分からなかった。

というより、頭がスッキリしない気分だった。

なんだか、今までの自分が違う自分だったような気がした。

そして、今までの自分と今の自分が別物だとも感じた。

大笑いしてからだ。

何だかいつも・・・というか、今までと違うのは。

今まで頭の中に埋め込まれていたものが、ものの弾みでスッポリと抜けてしまった感じだ。

「はぁ・・・」

ジャッキーは何が何だか分からなくなって、何とか考えを整理しようとしたが、口からでてきたのは溜め息ひとつだけだった。

「大丈夫――?なんか気分悪そうだよ?」

クラッシュはジャッキーに優しく呼びかけた。

「うん、いや・・・その――あんまり良くない」

ジャッキーは言葉につまずきながら答える。

(あれっ、今まではもっと自然に受け答えが出来た気がするのに・・・)

「――だからさ、きっと疲れているんだよ、うん――」

クラッシュの言葉もまともに聞いていなかった。

「ジャック・・・?」

ジャッキーは横目にクラッシュを見た。

なんだか、気落ちしたような表情だ。

「え?ボクはジャッキーだよ?」

「・・・そうか」

クラッシュは少し冷たい目でジャッキーを見た。

「やっぱり、コルテックスの味方だったんだな。前からうすうす気付いていたけどな」

「コルテックスって誰だよ、ボク、そんな人は知らないぞ」

ジャッキーは、何が何だか分からない、といった感じだ。

「悪の科学者だ。お前はずっとあのハゲ頭を慕っていたんだ」

「ええ〜っ!」

・・・。

・・・。

「嘘だ・・・信じた・・・く――」

「でも、ホントに――」

「――絶対、信じたくない!」

クラッシュは呆気にとられた。

ジャック、もといジャッキーに何があったんだろう。

(もしかして、洗脳が解けたのかな、クランチみたいに――)

(そういえば、クランチも洗脳が解けたときは混乱していたっけ・・・)

クラッシュは考えをまとめた。

そして、ジャッキーの、体の大きさの割に大きい手を引いた。

「とりあえず、行動しよう。反省はしているんだよな?」

「うん・・・というか、そのコルテックスって人のことが全く浮かんでこないんだ」

「そう、じゃあ、とりあえずココの会社に行こう。探すのを手伝ってもらうんだ。確か、ここからすぐのところ――あ、あった」

少し歩くと、先にパステルピンクとパステルブルーの建物が見えてきた。

ココらしい、可愛らしいデザインだ。

でも、どこか攻撃的に見えるのは何でだろう。

クラッシュとジャッキーは正面玄関からエントランスに入った。

とりあえず、受付に向かう。

そこには、クラッシュ好みの受付嬢がいた。

クラッシュはジャッキーを引いていた手を振り上げて、真っ直ぐそこに飛んでいった。

「やぁ、オイラ、クラッシュ・バンディクー!よかったら、これから一緒に――くはっっ!!!」

ジャッキーが横からパンチを食らわせ、クラッシュは伸びた。

「・・・・・・」

受付嬢はかなり困った様子で苦笑いをする。

「(もう、何やってんだよ・・・)あ、あの――こっちの彼、クラッシュ・バンディクーって奴で、社長に会いたいってことでここに来たのですが――」

ジャッキーは慌てて取り繕った。

受付嬢も、納得したように頷いた。

「ああ、ココ社長のお兄様ですね。色々話は聞いていますよ」

『社長』なんて肩書きがついていると、なんだか別人みたいだ。

クラッシュは、地面にうつ伏せになったまま、「そりゃ、オイラのことはいくら時間があっても語り尽くせないよなぁー」と言った。

ジャッキーは、受付嬢が大笑いしそうなのを堪えているのを確かに見た。

「ププ・・・え・・・ええ、そう――ですね・・・」

「・・・」

「では、今社長に内線を繋ぐので、今しばらくお待ちを――プッ――」

「・・・」

「・・・オイラ、なんか悪いこと言った?」

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