Chapter8(4/4ページ目)
ジャッキーとクランチの焦り
「おい、起きろ、クラッシュ。――起きろってば・・・」
太陽が昇るにはまだ早い時間だ。
外はまだ薄暗く、夜行性の動物たちは寝床に戻っていくが、昼間に活動する動物たちは寝ていて、とにかく微妙な時間帯だった。
クランチは、そんな時間にクラッシュを起こしに来た。
クラッシュはいつものように「くぴ〜、すか〜、ぐぅ〜・・・」を繰り返している。
クランチはクラッシュを必死に揺すって起こそうとした。
「なぁ、頼むから起きてくれよ!」
「ん・・・?どしたの・・・オイラ、もうリンゴは要らないよ・・・」
「っかー、寝ぼけてやがる!」
クランチは、寝ているクラッシュの頬を思い切りひっぱたいた。
『パシン!』と景気の良い音が部屋に響き、すぐに静かになった。
イビキも、もう聞こえてこない。
代わりに、ヒーヒー言う声が――。
「っかー、痛ぇ・・・」
クラッシュは半分涙目になりながらクランチを見上げた。
「やめてくれよ・・・バカ力でひっぱたくのは・・・」
クラッシュがブーブー言っているのを無視して、クランチは話した。
「聞いてくれよ、クラッシュ・・・」
急に涙を流し始める。
「おっ・・・?」
「俺のチビクマちゃんが、チビクマちゃんが・・・」
「チビクマちゃんが?」
「いなくなったんだよ!」
クランチはさらに涙を流し、もう滝のようになっている。
クラッシュは、ピンとこない・・・というより眠くてたまらないという感じだ。
「ふぁあ〜・・・眠いのにそんなことで呼び出さないでよ〜」
クランチは、それを聞いた途端に泣くのをやめた。
カチンときてしまったらしい。
「チビクマちゃんがいなくなったのに、『そんなこと』だって?!」
「オイラには関係ないよ〜・・・」
「いいから探せ!早く見つけないと、チビクマちゃんがどうなるか・・・あぁ、大変だよ・・・」
クランチはクラッシュを揺すり、チビクマちゃんであるかのように抱きながら、また泣き始めた。
まるで父と息子のような、異様な構図になる。
「分かった、分かった――苦しいってば・・・」
クランチは耳を貸さなかった。
そのままクラッシュを抱えて、クランチは「よし、探すぞ!」と言い、自分の部屋へと向かった。
「グランヂ、ぐ、ぐるじぃ゛よぉ〜」と言うクラッシュを連れて・・・
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最終更新日(10.06.01)
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