Chapter7(1/6ページ目)
一夜明けて・・・
ヘンテコドッキリ島に朝日が降り注ぐ。
森に住む夜行性の生き物は寝床に戻り、今まで寝ていたほうは新しい一日が始まる。
夕べ遅くまで起きていたクラッシュはベットに入る前に睡魔に負けてしまい、今は床で眠っていた。
クランチも遅くまで起きていたが、いつもの習慣か、もう起きてトレーニングを始めていた。
ドッキリを食らったココも、もうすぐ目を覚ましそう。
表のすぐそばでボーッとしていたジャッキーは、目がトロンとしているように見える(普段から半目だから分かりにくいが、目がつり上がっていない)。
それでもまだ意識は飛んでいなかったので、フラフラしらがらも窓の側に寄った。
「ン・・・何か聞こえるじょー、ファァ〜・・・あー、眠い・・・」
中からは、荒い息遣い。
そして、重いモノを降ろすドンという音もする。
ジャッキーが覗いていたのはクランチのいる部屋だった。
そして間も無くココの声が響いてきた。
窓とドアの向こうから聞こえる声は、とてもくぐもって聞こえた。
意識がぼんやりとしているせいなのかもしれない。
「クランチ?もう起きてるの?」
クランチは、手を休めずに返事をする。
「おう、もう起きてるぜ!もう朝飯なのか?」
「え・・・いや、まだだけど。私、まだ起きたばっかり」
「そうかそうか。俺は今、基礎トレーニング中なんだ。残りはスクワットとバーベル上げと、あと・・・」
「はいはい、朝ごはんが出来たらすぐに来てちょうだいね」
そして、足音がドアの向こうから聞こえ、間も無く聞こえなくなった。
窓は高い位置にあったので、ジャッキーはタルの上に乗ってこの様子を見ていた。
そろそろ疲れてきたので、一旦降りて足を休めた。
(なるほど・・・アイツらも丁度起きたところということだじょー)
しばらくして、ジャッキーはもう一度窓を覗いた。
クランチはトレーニングの休憩中らしく、椅子に座って滴るほどにかいてしまった汗を拭いていた。
「ふぅ〜、あと少し頑張らないとな・・・ん?」
クランチがふと窓の外を見たとき、ジャッキーと目が合ってしまった。
(しまった・・・!)
ジャッキーはすぐにタルから飛び降り、窓の下、丁度上から見たら死角になるところに張り付いた。
ここなら、上からは見られない・・・
カチャ――窓の鍵を開ける音がして、ジャッキーは少しだけムンとした若い汗を上のほうに感じた。
「あれ?確かに誰かいたような気がしたんだけどな・・・考え過ぎか?」
ジャッキーは物音一つ立てず、思わず息まで止めていた。
クランチは結局見間違いだと思ったのか、窓から出していた顔を引っ込め、部屋を出ていった。
「ふぅ、危なかったじぇ・・・ところで、アイツら、今日は何をするのかじょ?」
ジャッキーは他の部屋を見て回ろうと、クラッシュの家を一巡した。
裏まで行ったところで、煙突からいい香りがしてくることに気付いた。
ジャッキーはその匂いに鼻をクンクンさせ、ワクワクとした期待に背中のトゲトゲも立つ。
「これは・・・リンゴの匂いだじょー!・・・そういえば、潜水艦を出てからまだ何も食べていないじょ・・・」
昨日の夕方、ジャッキーはリンゴの木を海岸近くで見つけたのだが、そこには既に先客がいた。
サルたちは、ジャッキーがリンゴを盗ろうとしたのに気付き、攻撃してきたのだ。
結局何も収穫が無かったジャッキーは、そのまま夜を過ごし、今は寝不足と空腹でカリカリしていた。
だから、食べ物の匂いに敏感ななるのも無理はなかった。
「あ〜あ、食べたいけどノコノコ入れるハズが無いじょー・・・何か、覗く気も無くなってきちゃったじょー・・・」
覗く気力さえ無くなったジャッキーは、陽の当たらない木の陰に行き、じっとした。
一晩空を見ていたから、もう眠さも限界だ・・・
ジャッキーの意識は、下へ・・・下へ・・・下へ・・・落ちていった。
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最終更新日(10.06.01)
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