Chapter7(3/6ページ目)
一夜明けて・・・
「ねえ、こんな時に悪いんだけどさ――」
家に入る直前、ココが切り出して言った。
「ん?どうしたのさ」
クラッシュが聞き返す。
「今メールが来ちゃってさー・・・ほら、これ――」
クラッシュ、クランチ、アクアクがココのノートパソコンの画面を覗き込んだ。
届いたメールには、ココに本社に戻って来て欲しいという内容があった。
「じゃあ、まだあのビジネスは続いているんじゃな?オキサイドが攻めてきた頃に始めたアレを?」
「オンラインだけじゃなくて、ついに本社まで建てちゃったんだっけ」
「えぇ、そうよ。もう順調で困っちゃうって感じ!まあそれは置いといて・・・急いでいかないと間に合わなそうだから、もう行かなくちゃ!」
そう言いながら倉庫の方へと向かう。
そしてココは倉庫からココウィングを出して――すぐに飛んでいった。
「あら〜、行っちゃったよ」
「暫くは戻って来ないな、こりゃ」
クラッシュとクランチは、どんどん離れていくピンク色をずっと見ていた。
やがて、プロペラの音も姿も見えなくなった。
「さて・・・ワシもそろそろ戻らねば」
「帰るの?」
「うむ、一応ワシは島の精霊じゃからな。見回りに行かねばならん」
「そういえばそうだったね・・・」
「じゃあ、また後でな」
そう言うと、アクアクはその場でぐるっと回って消えた。
後には煙が残っていた。
「いいなぁ、アクアクは」
クラッシュは羨ましそうに言った。
「何がいいんだ?」
クランチが聞いた。
「だってさ、アクアクってどこにでも飛んで行けるし、暗いところも平気だし・・・」
「ふーん。でもよ、クラッシュ、お前はグライダーやらジャイロやら持っているじゃねーか。俺は何にも持っていないぞ」
「自由に飛びたいんだよね。道具無しで」
さらにクラッシュは続ける。
「ココは頭が良くて何でも出来る――」
「あ、あぁ・・・まあな、ココは素晴らしいよな、エヘヘ・・・」
「それにさ、コルテックスもいいよな。瞬間移動が出来て」
「おいおい、敵を羨ましがるのかよ・・・俺はあんなヤツなんて二度と見たくねぇけどよ・・・自分の特技を伸ばせよ」
「じゃあ、オイラに何がある?」
クランチは少し考えてから言った。
「――リンゴの早食い」
「ほら、それしか無い!実用的じゃ無いじゃないか。くそっ、こうなったら――」
「こうなったら?」
「意地でも特殊能力を身に付けてやる!」
「今のままでも十分だと思うけどな・・・で、特殊能力とやらを身に付けてどうするんだ?」
「そりゃ、タウナをピンストライプから取り返すに決まってるよ!」
「タウ・・・ああ、あの抱き締められたらたまらなさそうな姉チャンか。居間にも写真があったよーな・・・」
「そうさ。今でも諦めきれないんだ」
「そうか。まあ、アー・・・頑張れや」
「もちろんさ♪」
クラッシュはウキウキしながら言った。
「手始めに――よしっ・・・」
「?」
「研ぎ澄ますんだ・・・動物の本能を・・・」
「へっ?」
そしてクラッシュは突然草むらに駆け出して、土を掘り返しはじめた。
「ゥオリャリャリャリャ――!」
クランチはそんな様子を白けながら見つめていた。
「何やってんだ、アイツは・・・ありゃ、完全にお熱だな・・・」
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最終更新日(10.06.01)
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