Chapter4(3/3ページ目)
悪の始動パーティー
「――ったく・・・あの仮面はどうしてこうも怒りっぽいのだ、フン」
潜水艦の前に着いたときにコルテックスが愚痴った。
鼻の頭がもう少しで紫色になりそうなほどイライラしている。
「まあ、年寄りは気が短いと言いますからな、仕方あるまい」
エヌ・ジンは慰めるように言った。
「それはそれとして――」
エヌ・ジンはキョロキョロと周りを見た。
「このメンバーは珍しい」
「まあな、確かに。大きい奴が今回は一人もいない。本当に大丈夫かな・・・はぁ、せめてニーナだけでも一緒に行けたら良かった・・・」
「ああ、ニーナ様はワルワルスクールの宿題があるとか――『空き巣と泥棒の違いを実際に体験して調べる』とかいう」
「そうかそうか。ちゃんと育ててくれているようだな、あの学校は。ニーナの将来が楽しみだ・・・グフフフフ」
(何を考えているんだ?)
そうこう話しているうちに、一行は潜水艦が泊めてある断崖絶壁の海岸にやってきた。
断崖絶壁とはいえ波は穏やかで、何とか下に降りることは出来そうだ。
遥か向こうまで見渡せて、地平線が引かれたその風景は旅立ちに相応しい。
「フフ・・・ここから出航すれば誰にも追跡されまい。表の港にはおそらく何かがあるだろうからな」
一行はコルテックスが岩を削って造った秘密の階段を降りようとしたが・・・
「ちょっと!何よ、コレ!体が汚れちゃうじゃない!しかも――まさか、あの潜水艦に乗るんじゃないでしょうね・・・センスがサイテーだし、これならデートに行っていれば良かったわ・・・」
手下の一人がくどくどと毒舌を吐いた。
コルテックスは困ったように言った。
「何?ワシの命令が聞けんのか!まぁ、今までも聞いた例しはないがな・・・分かった。作戦変更だ!タスマニアには、ワシら三人で行く!ワシと、エヌ・ジンと、ジャッキーで!スウィーティ、お前は一旦帰っていろ。ワシが次の命令を出すまで何をしていてもいいから、命令を出したときは従ってくれよ」
スウィーティと呼ばれたそのタスマニアン・デビルは、ムスッとしながら来た道を戻った。
捨て台詞を残して(何よ!その上から目線。サイテーの中のサイテーね)。
暫くしてからその場に溜め息が交差した。
「あんなのに首ったけになるタイニーの気が知れんわ、まったく・・・」
「コルテックス殿、あれがあの娘の魅力で・・・」
「いいや、ワシは認めんぞ・・・本当、何を間違ったのか、未だに分からんわ・・・ジャッキー?」
コルテックスに突然呼ばれたハリモグラのジャッキーは、急に呼ばれたのでビックリした。
「ぇ、な・・・何だじょ?」
「お前はワシにいつも忠実だよな。いや、結構、結構」
「勿論だじょー。ボクちんはどこまでもコルテックス様に付いていくじょー」
ジャッキーは「キシシシシ・・・」と笑いながら、忠誠を示してくれた。
「やることは分かっているな?地味でつまらないだろうが、許して欲しい」
「大丈夫だじょー。任せて下さいませ、だじょー」
ジャッキーはどこまでもコルテックスに忠実だということをアピールする。
「じゃ、いよいよ出発だ!待っていろよ、クラッシュ・バンディクーめ・・・」
三人は、『黄色い潜水艦』にぞろぞろと入り込んだ。
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最終更新日(09.08.27)
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