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チョロQ 最速伝説?


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Chapter 8 耐久経験?ロングサーキット

今日は曇り空。

今にも雨が降りそうだ。

そして、なんか負けそうな気がする・・・。

いや、そんなこと考えちゃダメだ! 集中しろ! アグネス!

今のアグネスはこんな気分だった。

しかし、掲示板を見てそんな思いは吹き飛んでしまった――



公式レース レベル1 ロングサーキット【Q2】(5周)
◇出場車◇
ハセガワ3131(HG) ◇優勝候補◇
ベンジー(HG2)
ブラウンドッグ(Q2)
ファニーギャロップ(HG)
アグネス
クワーノ(HG2)
パープルシャドウ(ワンダフォー!)
バラート(HG4)
スーパー4WD(Q1、Q2)
マルサン(オリジナル、マルヨンの父が補欠で登場)

◇賞金◇
1位 1000G
2位 500G
3位 250G
以下 100G



「ちょっと! 5周もするってどういうこと? もろ耐久レースじゃないか。大丈夫かな(賞金が高いな、どうしても優勝しなくちゃ!)」

「ピットも開いてるぜ・・・結構厳しいな(魅力的な賞金じゃないか)」

「この地方でも耐久レースはあったんだね。タイヤの選択が重要だよ。グリップの高いタイヤは基本的に減りが早いけど・・・」

「けど・・・なに?」

「例外もある。ウン、ところで、このコースのランクは何なの?」

「――ランク4だぜ。パンフレットに書いてある。でも、ランク1のショートサーキットとランク2のミドルサーキットの合体コースだ。そう考えれば結構簡単に見えると思うぞ」

「あっ、そうなんだ。それなら結構楽かも・・・」

「ハセガワ3131、それ正気なの? ロングコースを5周だよ?」

「ウン、正気だけど。前はよくカントリーグランプリに出てたからね。ガベージバスターの次に遅かったけど」

「ふーん・・・」

アグネスとバラートは声を合わせた。

今回のレースももしかしたら、ハセガワ3131が勝ってしまうのではないかと思っていた。

『ピンポンパンポーン』

アナウンスが聞こえてきた。

『まもなく、公式レース、レベル1、ロングサーキットのレースを開始いたします。出場車の方は、スタートポジションにお急ぎ下さい』

「――行こう」

「・・・うん。行くか」

「おう、行こうぜ」



<さあ、今回のレースは、成績によって出場するレベルが決まる! だれもがトップを狙っています!
上位4台がレベル2の下位4台に挑戦し、勝った選手はレベル2へ、負けた選手はレベル1に残留です!
今回の注目選手は前回のチョロ砂漠で見事トップに立ったハセガワ3131! 彼は着々と成績を上げてきており、今レースも活躍が期待されます!
また、チョロ砂漠で優勝候補ながらも調子の悪かったアグネス、バラートは名誉挽回できるのか?!
さらに、今回はゲストにマルヨンの父、マルサンを入れております。彼は現役時代、トップクラスのレーサーでした!>

(そんな人(チョロQ)がレベル1に出ていいの?)

3・・・2・・・1・・・スタート!>

まずは選手たちのタイヤと耐久性能を見てみよう。



ハセガワ3131 グリップタイヤ 耐久性能3.6
ベンジー スポーツタイヤ 耐久性能3.3
ブラウンドッグ オールラウンド+2 耐久性能3.7
ファニーギャロップ グリップタイヤ 耐久性能3.6
アグネス オールラウンド+4 耐久性能3
クワーノ スポーツタイヤ 耐久性能3.3
パープルシャドウ ゴールドタイヤ 耐久性能5
バラート オールラウンド+1 耐久性能3.4
スーパー4WD オールラウンド 耐久性能3.1
マルサン ロングライフタイヤ+フリーホイール 耐久性能15.8


明らかにマルサンが有利だ(ロングライフタイヤとフリーホイールは玩具が元ネタ)。

完全なる耐久使用である。

アグネスの装備するオールラウンド+4は、グリップはなかなかだが耐久性能に欠けるので、後半になると多少不利だ。

ハセガワ3131やファニーギャロップが装備するグリップタイヤ系統は、グレードが上がるごとにすべての性能が上がる。

さて、レースのほうは、滑り出しはマルサンが好調だ。

(あの人、本当にマルヨンの父親?対極的だぞ?!)

アグネスは第一コーナーを曲がる。

このカーブは緩いので、あまりスピードを落とさなくても曲がれる。

グリップ走行でファニーギャロップを抜かす。

バラートはチョロ砂漠の経験生かしてか、ゆっくり走る。

ハセガワ3131はブラウンドッグをブロックする。

(この人は加速がいいからブロックしてもすぐ追いつかれる! 今から体力使い果たしても仕方ないし、いったん退こう、これも作戦だ。耐久だからあのペースだと後半はヤバいだろうな)

ハセガワ3131は、ブロックをやめて、ブラウンドッグを通した。

(コイツ正気かよ? ブロックをやめるとは・・・)

クワーノとパープルシャドウは談話中(していて平気なのか?)。

こんな調子で第2コーナーを抜ける。

続くコーナーは緩いS字で、ブレーキをかけずに通過できる。

当然誰もブレーキをせずに通過。

この後の第4コーナーが難しい。

短い直線の後のヘアピンカーブ。

この後はやや長い直線なので、ミスをしたら大きく離される。

なんと、マルサンは曲がりきれず激突!

「・・・スロー・ステアにするんじゃなかったわい・・・」

そう、サーキットは反応の遅いステアのほうが有利だ。

でもさすがランク4のコース。

そういうところも抜かりがない。

マルサン以外のチョロQは、奇跡的にも、順調に抜ける。

「やっぱりオジサンはオジサンだよね・・・」

トンネルを過ぎ、アグネスはブラウンドッグを射程範囲に入れた。

(確か、あの人は加速が良くて、何気にブロックが強い! 生半可な作戦だと、こういうコースでは抜かすことはできない!)

とりあえず、スリップストリームに入る。

アグネスのスピードはどんどん上がっていく。

「さすが、Q'sの人って物知りだな〜。このテク使えるな」



実は、レースに出る前にこっそり教えてもらっていたのだ。

『いいか、サーキットではスリップストリームが重要なんだ。 直線では、できるだけ前の敵の後ろ側にいるんだ。』

『はあ・・・一応やってみます・・・』



これを武器に、今回は勝ってみせる!



バラートは、まあまあ順調に行き、ファニーギャロップの後ろに。

この二台、性能の特性が似ているから、激しいドッグファイトの展開になるかもしれない。



ハセガワ3131は、スタートしたときと作戦が変わったようだ。

最初に少し差をつけて、後々ゆっくり走ろう、という作戦みたい。

だから、アグネスはさっき、彼に会う前にブラウンドッグに会った、というわけだ。

しかし、どうやってブラウンドッグを抜かしたのだろう。

実は――



「あのハセガワ3131のヤツ、すんなり俺を通したよな・・・もしかして俺が強すぎて勝てないと思ったとか?! いやー、俺も名が知れるようになったものだなー」

ブラウンドッグは完全に浮かれあがっている。

「前回のレースの優勝者をビビらせるなんて、俺カッコイイ〜」

とか言いながらコースを走行していた。

しかし、トンネルでスピンしてしまった。

浮かれすぎた結果だ。



――という訳で、レースに集中していなかったブラウンドッグは自滅した。

なんともかっこ悪い様である。

アグネスは、案の定ブラウンドッグをなかなか抜かせなかった。

「お願いだからどいてくれよ、こっちもイライラしてくる」

「レースでそんなことする馬鹿いるはずないだろ?」

「だから・・・(そうだ! ずっと話しかけてレースから気をそらそう!)」

「だから・・・何なんだ?」

「えっと・・・そういうこと」

「は?」

「だ、か、ら、どいてくれないとイライラしてくるって言っているんだ!」

「そんなムキになるなよ・・・ま、そんなことしたってどかないけど」

「じゃあさ、どいてくれたら1000Gあげようか?」

「本当か?」

「うーん、どうしようか。あげてから逃げてもらっても困るし・・・」

「そんなことしないさ」

「ふーん、ところで・・・(よし、もうこれは勝ったな)」

「?」

「前を見ろ!」

「えっ、、、!!!」

ブラウンドッグは2つ目のトンネルのカーブでぶつかった。

「じゃあね、ブラウンドッグ。あ、やっぱり1000Gあげるのはやめにしておくよ、実は今金欠だから」

アグネスは、橋を渡り2周目に入った。



中間順位
1位 ハセガワ3131
2位 アグネス
3位 ブラウンドッグ
4位 マルサン
5位 バラート
6位 ファニーギャロップ
7位 スーパー4WD
8位 クワーノ
9位 パープルシャドウ
10位 ベンジー



ロングサーキット2周目。

まだピットインするチョロQは誰もいない。

アグネスはホームストレートでハセガワ3131を捉えた。

「よし、アイツは直線の伸びが悪いから直線で――」

アグネスは、バックストレートで勝負を賭けることに。

しかし、それまでは後ろの敵にも気をつけなければならない。

ブラウンドッグは加速がいいからすぐに追いつくだろう。

マルサンだって、ベテランなのだからさっきみたいなミスはしないはずだ。

バラートもやっぱり侮れない。

最近不調かもしれないけど。

ここで飛ばしてタイヤをすり減らすか、ゆっくり走ってタイヤを温存するか、これは重要だ。

どうしよう・・・

(一応ハセガワ3131の後ろにくっついていこう)



S字コーナーを抜け、ヘアピンカーブに入る。

ここでブラウンドッグ、マルサン、バラートが追いついてきた。

「うそ? もう来ちゃったの? でも2位は守り抜く!」

「フン、そうはいかない。さっきはよくも!」

「ワシもあんなミスはもうしないぞ、覚悟しとけ」

「俺を忘れるなよ、アグネス」

ここは一か八か、ドリフトしかない!

(・・・いくぞ!)

アグネスは、アクセルをベタ踏みしてタイヤを滑らせる。

辺りにスキール音が響く。

(コイツ、ヘアピンの前で何する気だ?)

(こやつ、ドリフトするな、タイヤは長く持たない・・・)
(さすが俺のダチだな! 俺もやってやる!)

バラートも後に続く。

2台は、ドリフトに成功し、後の2台を引き離す。

「ぅわ、バラートもドリフトしてたの?」

「おうよ! あんな奴らにも、お前にも負けちゃいられねぇ!」

「さすが、レースには燃えてるな、バラート」

アグネスとバラートはバックストレートでハセガワ3131に追いつく。

「よし、このまま抜かす!」

「そうはいかないよ! 僕のブロックの練習した成果を見せる!」

意外にもしぶとかった。

ハセガワ3131は性能で負けるタイプだが、それをテクニックで補うタイプになったようだった。

アグネスが苦戦しているうちに、バラートに抜かされてしまった!

「じゃあな! 先に行ってるぜ」

「あ、抜かされちゃった――でもアグネス君には勝っ・・・あれ?」

アグネスは、一瞬の隙を突いてハセガワ3131を抜かした。

久々にバラートとタイマンになるかもしれない・・・

しかし、バラートはとても速くなっていた。

そのまま橋の前まで来た。

「なかなかスキがない・・・ていうかタイヤが――」

アグネスのタイヤは、既にかなり磨り減っていた。

ドリフトをしたのが原因らしい。

「まだ2周目だけど、ここは安全策をとって・・・」

2台はホームストレートに戻ってきた。

アグネスはピットインした。

バラートはそのまま走り続ける。

(ちょっと早いかもしれないけど、後で抜き返す・・・!)

このすぐ後に、ハセガワ3131がホームストレートに戻る。

アグネスには気づかず、3周目に入る。

マルサンとブラウンドッグもそのまま3週目に。



中間順位
1位 バラート
2位 ハセガワ3131
3位 マルサン
4位 ブラウンドッグ
5位 アグネス
6位 ファニーギャロップ
7位 スーパー4WD
8位 ベンジー
9位 パープルシャドウ
10位 クワーノ



「よし、ここから一気に挽回してやる!」

5位で3周目を迎えたアグネス。

快調に進み、S字コーナーやヘアピンカーブを楽々パス。

ヘアピンカーブでは、マルサンがまたもや曲がりきれずに壁に激突していた。

やっぱり年なのだろう。

年には勝てまい。

もしかしたらタイヤのライフが長すぎて全然温まっていないとか・・・

マルサンは、ここは潔くリタイアしよう、と決めた。

バックストレートに入り、ブラウンドッグとハセガワ3131を捉えた。

アグネスはスリップストリームに入り、一気に抜こうとする。

ただ、ブラウンドッグがアグネスに気づき、ブロック。
しかし、ブラウンドッグのほうが軽いので効果は薄く、アグネスはブラウンドッグを抜かし3位に。

(っく、やっぱり成長したな、アイツ・・・)



(・・・バラートはまだ見えないのかな・・・)
小さなシケインを通過し、現在3位だ。

ハセガワ3131と並走だ。

バラートは相当飛ばしたらしく、既に2つ目のトンネルを通過したみたいだ。

その時、遠くで雷の音がした。

(ひぇ、この雲って嵐・・・? 少しヤバくないか?)

こんなことを考えていたら、いつの間にかハセガワ3131がチョロQ6台分ぐらい先にいた。

「いけない、集中しなくては・・・」

アグネスはハセガワ3131をフェイントで引っ掛けて抜かし、2つ目のトンネル(正確には洞門?)を通過する。

橋を渡ってホームストレートに戻る。

バラートがいた。

今ピットインしているところだ。

この隙に抜かして、アグネスはトップに躍り出る。

ハセガワ3131とブラウンドッグもピットインした。

(そういえば、タイヤはゴールまで持つかな・・・2周交換のペースで来ているから、5周目でピットインしないとマズいかも・・・)



4周目。

ピットインしなかったアグネスが2位に大差をつける。

タイヤはまだ持ちそうだ。

というか、今が最高潮。

差をつける最大のチャンスだ。

「よし、今のうちに引き離す!」

アグネスはアクセルを踏もうとした。

その時、ついに雨が降ってきてしまった。

そう、オールラウンドタイヤは――

でも、出場者のほぼ半数はオールラウンドだったはずだ。

他のチョロQも同じ状況下にあると思うと、アグネスの焦りは少し消えたようだ。

それに、まだ降り出しで霧雨だから、なんらレースには影響は無い。

本降りになる前だったら・・・

アグネスは、少しだけアクセルを入れようとした。

ただ、思い留まってしまった。

(耐久レースでこんなことをするのは馬鹿・・・だよな――)

と思ってたら――。

「いぇーい! ピットインして調子が良くなったぜぃ!」

(あ、馬鹿が来た・・・じゃない、じゃない。相手を馬鹿と呼ぶなんて、卑劣すぎる。でも、あの声はブラウンドッグだ。あの人はやっぱり馬・・・いや、言ってはいけない!・・・って、またレースに集中できなくなった! 悪い癖だ・・・)

こんな長い感想を言った後、アグネスはブラウンドッグをブロックしようとした。

ただ、やっぱりかわされた。

「お前、なんかトロくなっていないか?」
「え?! あー・・・そうでもないさ」

「ウーソまーる出ーし!! まるで清掃車を見ているようだぞ!」

「さっきの仕返しのような言葉だな・・・無視、無視・・・あんなに飛ばしたら最後の最後で負けるな」

そうこうするうちにバックストレートを過ぎ、トンネルに入る。

なんだかあっと言う間に雨足が強まってきたようだ。

トンネルを出たときには、ワイパーを使わなくてはならない程に。

しかも、走っているうちにどんどん雨が強くなる。

視界も悪い。

もうオールラウンドでは限界があるかも・・・



このころバックストレートでは、バラートがハセガワ3131に抜かされていた。

タイヤが大きく影響しているようだ。

「雨が降ってきてから調子が出ない。バーニング走行ができない。もしかして、タイヤが悪いのか?オールラウンドにも弱い路面はあったのか・・・
でも! ここで引き下がらない! 絶対アグネスに勝ってやる! ただ、ブラウンドッグのような馬鹿はやってはいけないな。ゆっくり、確実に行く!」

いろんな人に馬鹿といわれているブラウンドッグ、可哀そうに・・・

バラートは、タイヤがスリップしない程度にアクセルを踏み、ハセガワ3131を追った。



アグネスは苦戦していた。

チョロ砂漠も過酷な条件ではあった。

でも、今回のレースもかなり過酷だ。

アグネスは既に結構へばっていて、少し運動性能が落ちていた。

まあ、スリップしにくいのだからいいけど。

雨は、止まるところを知らずどんどん強くなる。

早くゴールしないと・・・。



後方集団は、オールラウンドを履く車が少なく、あまり影響を受けていない。

あまりスピードに変化は無い。

ベンジーは、少しずつクワーノ達から差を広げた。

「少なくともスーパー4WDぐらいは抜かしたいよなあ。前回は2位だったのに・・・」

「俺を抜かす?! できるモンならやってみろ!」

「(じゃあ、遠慮なく・・・)体当たり!!」

ベンジーはヘビー級の車体でスーパー4WDに体当たりをした。

スーパー4WDは、安定をなくしスピン、復帰したときには最下位になっていた。

「くそ・・・挑発しなきゃ良かった・・・」



アグネスは丁度橋を渡ったところだ。

雨は強まるばかり。

ホームストレートに戻ってきた。

観客は雨にもかかわらず応援している。

さすが新人が活躍すると観客も沸くようだ。

「次がファイナルラップだけど、ピットインするかしないか・・・でも、前半より安定した走りができたし、ブラウンドッグを抜かせないかもしれない。ここは、そのまま行く!」

アグネスはピットインせずにファイナルラップ突入。

その後からバラート、ハセガワ3131の順でファイナルラップへ。

さすがに皆レース経験は浅いため、少し疲れている。

その中ブラウンドッグは特に疲れていた。

やはり、飛ばしすぎた。

「チッ、調子が出ねぇ! こんなんじゃアグネス達に抜かされる!」

事実、差はかなり縮まっていたが、アグネスはまだ捉えられてない。

それ程差がついていたのだ。



これより少し後、ファニーギャロップとベンジーがファイナルラップに入った。

ベンジーは怒涛の追い上げ、ファニーギャロップに追いついたのだった。

「あっ、君はベンジー・・・って事は――ヘビー級じゃん! ぶつかったらきっと一発でアウトしちゃうよ。逃げよっと」

ファニーギャロップは、ベンジーにぶつかりたくないので、スピードを上げて引き離した。

彼はライト級なので、当然ベンジーとぶつかったら飛ばされるだろう。

「あれ、しっぽを巻いて逃げた・・・あんなの追いつけないよ〜」

それでも、少しでも順位を上げようとベンジーはファニーギャロップの後を追った。

絶対に抜かすと誓い・・・



アグネスはブラウンドッグを追っていたわけだがなかなか見えない。

「耐久レースって他の車と張り合わないからなんか暇だなーって、何か見えたと思ったら――周回遅れ・・・?」

そう、アグネスはパープルシャドウとクワーノを周回遅れにしたのだ。

「ブラウンドッグはどれだけ先行っているんだか・・・」

左のヘアピンカーブを曲がり、バックストレートへ。

まだブラウンドッグの姿は見えない。

しかも――。

「後ろからバラートが!」

バラートは、本来のパワーが出せなくてもバーニング走行をし続け、なんとアグネスに追いついたのだ。

最初のトンネルに来た。

(よし、ここはドリフトで・・・!)

(アグネス、ここはドリフトで来る! だったら俺もやっちゃうぜー!)

二台はドリフトで通過、トンネルを抜けた。

雨が降っていないかのような走りだ。

小さなシケインに来た。

なんと、ブラウンドッグが停まっている。

「おやおや、どうしたのかな?」

「う、うるせぇ! 燃料切れだ!」

「・・・プッ」

「・・・アッハハハハハ・・・ゲホッゲホ・・・笑いすぎちゃったや・・・」

と、まあそんな事があったわけで、給油チームがブラウンドッグの元へ行った。

洞門のカーブもドリフト、もう二台の世界だ。

そして、橋まで来た。

アグネスがややリードしている。

「よしっ、これなら勝てる!」

「甘いな・・・スリップストリーム!」

バラートはスリップストリームに入り、アグネスを抜かす。

アグネスはそのまま抜かせずに、バラート1位、アグネス2位でゴールした。

その後も順次ゴールした。



結果発表
1位 バラート  5:23:41
2位 アグネス  5:23:86
3位 ハセガワ3131  5:29:11
4位 ブラウンドッグ  5:39:31(給油が終わった後、猛スピードで走って脅威の順位に)
5位 ベンジー  5:58:72
6位 ファニーギャロップ  6:00:29
7位 スーパー4WD  6:08:38
8位 クワーノ  +1Lap
9位 パープルシャドウ  +1Lap
R  マルサン



バラートは、金のカップと1000Gをもらった。

アグネスは、銀のカップと500Gをもらった。

ハセガワ3131は、銅のカップと250Gをもらった。

「いやあ、バラートには負けたよ。最後の最後で負けるとはね」

「へへん、どうだ、思い知ったか!――なんちゃって、ヘヘ。俺も、トップを取れるとは思わなかった。作者は都合がいいのが好きだから123フィニッシュしたんだろうな・・・」

「僕も、3位が取れてよかった。それにしてもブラウンドッグ――」

燃料切れにもかかわらず、最後の追い込みで4位だ。

もしかしたら、かなり手強い存在だったりして・・・?

「今度のレースは、レベル2の敵と勝負だぜ。俺でも緊張する」

「そりゃみんな同じだろう。でも、絶対3台揃ってレベルを上げよう! 離れ離れは寂しいだろう・・・ね?」

「うん、その通りだよ」

「もちろん! 絶対レベルを上げて見せるぜ!」

3台の気持ちが今までよりも近寄るレースになったのだった。



QC暦0098年4月11日(土)
走行距離 57Qkm
所持金 1500G
ポイント 7ポイント
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