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クラッシュ・バンディクー 乱れあう絆


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Chapter 17 「らしい」と「らしくない」

「ジャッキー、おはよう」

今日は珍しく朝早く起きた。

今晩はココもクランチもいなかった。

で、代わりに敵のジャッキーが来ている。

洗脳が解けたみたいだけど、たまに以前の――つまり、コルテックスの手下であるときの――ジャッキーが戻ってくる。

(もっと前の無垢なハリネズミは、クラッシュ自身と同じく戻っては来ないだろう)

そうだ、この前だって一瞬・・・

『ヘヘッ・・・いや、キシシ・・・かな』

だって。

どう付き合っていけばいいんだろう。

こういう関係になった今は仲良くしたいけど、正直恐い。

突然記憶が戻ってきたら・・・? 背中の針でグサグサッ・・・一丁あげられちゃう。

・・・。

どうすればいいんだろう。



クラッシュが思慮深げにしていると、ジャッキーがツンツンとつついた。

「何考えてるの?『らしくない』ね」

クラッシュは考えるのをやめて、慌てて言った。

「えっ、な、何が『らしくない』って?」

「クラッシュがクラッシュ『らしくない』って」

「アー、つまり・・・」

「クラッシュが考え込んでいるのって、すごく珍しいじゃん」

「まぁ、そうかもね」

「だから『らしくない』んだよ」

「何だよ、たまには考え事したっていいだろ」

「うん、まあね――ところでさ、何考えてたの? まだ答えてないぞ」

クラッシュは一瞬息をつまらせた。

ごまかすか、言っちゃうか。

「・・・」

「・・・?」

「・・・タウナのこと」

結局、はぐらかすことにした。

「なんだ、そのことか」

「『なんだ』って、オイラにしてみりゃ重要なことなんだぞ」

「だって、わざわざ隠す必要なんてなかったでしょ」

ジャッキーは少し横目に言った。

「ボクもそのことはよーく分かってんだからさぁ、もっとオープンに行こうぜ」

「な、なんだよ、うるさいな」

クラッシュは、その目を無理に逸らした。

とても不器用だった。

「まぁいいや、朝ごはん食べよう、クラッシュもペコペコだよね」

ジャッキーは深く掘るようなことはしなかった。

「今日はボクが何か作るよ、リンゴいっぱいの朝ごはん」

「ワォ、そりゃ楽しみだな」

クラッシュは明るい声で応えた。

「ハハッ、クラッシュ『らしい』や」

「えっ?」

ジャッキーは、ひょいと立ち上がってキッチンへ向かった。

「さ、早いとこ作っちゃお・・・」

「なぁ、さっきからオイラのこと、弄んでるだろ」

「なんのことぉー?」

キッチンからジャッキーのだみ声だけ返ってきた。

「さっきから『らしい』とか『らしくない』とかぁー、ちょっと生意気だぞぉー」

クラッシュも大声で返した。

そして、よっこいしょと立ち上がり、ジャッキーを手伝いに行った。