Chapter2
いきなり活躍?スーパールーキー!

「もうこれ以上は行かせないぞ、新人め!フフフ、このベテランレーサー、世紀のせいそうしゃを簡単に抜かせると思ったら大間違いだ・・・って、あれ?」

「喋っている暇があったらレースに集中したらどうですかー」

アグネスが指摘する。9位になった。


第1コーナーを曲がるとしばらく見通しの良い直線だ。

ここはスピードの高いマシンが有利になるだろう。

「おっ、あの黄色いボディはハセガワ3131?」

どうやら、スピードは低いらしい。

「ああ、アグネス君か、同じ新人として頑張ろうね。僕、新チョロQワールド(HG1)出身だからこの地方のレースは初めてなんだ。このレースは僕の分まで頑張ってくれよ」

「はあ(なんでこんなに気弱なの・・・)・・・まあ、できる限りで。それじゃ」

これで8位だ。実感は無いけど。


しばらく走ると、橋の下に来た。ここは第2コーナーだ。

橋のたもとを見ると、おやおや、煙が上がっている。

なんと、スーパー4WD、レッドパンサー、チョコバニラだ。

「お前達のせいだ!こんなケガをさせて!」

「お前がおとなしく引き下がらないのがいけないんだろ!」

「まあまあ、兄貴、落ち着けよ。この状態じゃリタイアだな」

どうやら、ブロックしていたらバランスが崩れて、3台もろもろ壁にぶつかったようだ。

〈えー、スーパー4WD、レッドパンサー、チョコバニラはCPUの故障によりリタイアとなりました。彼らは負けが決定しました。さて、現在トップは2周目に入り、先頭を走るのははダンディーロケットです!そのすぐ後をペガサスタイガー、パープルタイガー、バラートが追う展開です〉

アグネスは、シケインを通過した。まだトップグループは見えない。

そのまま最終コーナーを過ぎ、2周目に入る。

「まだ見えないよ・・・もっとアクセル踏むか・・・」

アクセルベタ踏みでホームストレートを過ぎる。

スピードが上がる。

すると、あっという間にコーナーまで来てしまった。

「あっ、どうしよう!これじゃ曲がれない・・・とりゃー!」

アグネスは自棄になってハンドルを切った。すると、驚いたことにたやすく曲がれてしまった。

「う・・・そ、でしょ?曲がれちゃったよ。よし、これを使えばアクセルベタ踏みでも走れるぞ」

彼はこの技をドリフトという上級技ということを知らない。

観客や実況は、新人がこれをやったので唖然とした。

今や、アグネスのスピードはトップの160km/hだ。

驚くことに、第2コーナーでトップグループに食い込めた。

「よし、このまま抜いてやる!」

「そうはいくか!」

4位にまで順位を下げたペガサスタイガーがブロックを仕掛ける。

「ウヮ、何するんだ!」

「君は、こんなことも知らないのか?これはブロックといって、敵の進路を防いで自分の順位を守る技さ」

「うん、ありがと。じゃあね」

「ん?あ〜〜〜!!!抜け駆けするな!」

これで4位だ。

「私のお兄さまに何をしたのかしら?あんた」

(うっ、また兄妹かよ・・・)

「私は荒いのがニガテだからお先に・・・」

「あっ、こら!待て!」

「フッフーン。ここまで来なさいよ、ほら早く・・・グェッ!!!」

後ろを向いていたらカーブに気づかず、壁に激突した。

「ラッキー!これで入賞圏だ♪」


3周目に入ったときにダンディーロケットとバラートに追いついた。

「チッ!新人のくせにしつこいヤツだな・・・」

「俺を甘く見ちゃいけねぇよ!日々特訓しているからな、それ!」

バラートの体当たり!

ダンディーロケットはスピンした。

「う・・・かなり手ごわいぞ、奴は」

アグネスは怯んだが、オロオロしている場合ではない。

全力でバラートに勝負を仕掛ける。

「おっ、お前は新人のアグネスだよな」

「うん。君はバラートだね」

「おう、これはおもしろくなりそうだぜぃ!」

新人2台の優勝争いだ。

2台とも性能は互角のよう。テクニックの勝負となりそうだ。

もう橋の下を抜けた。ちょうど故障した3台が担架で運ばれている。


その時、後ろから猛スピードで誰かが来た!

「俺を忘れちゃ困るんだよ!人に話をさせておいて!」

ペガサスタイガーだ。

「どうしよう、あっちのほうがスピードがずっと高い!どうする、バラート?」

「どうするって、ブロックしかないだろう?二台でダブルブロックだ!」

ペガサスタイガーはアグネス側を抜けていこうとしている。

「そっちに来るぞ、バラート!」

「よし!」

右側に寄る。

しかし、抜かされてしまった。

「カッカッカ!フェイントをかけたのさ!騙されるなんて馬鹿だな」

(ムッ)

あっという間に引き離され、ペガサスタイガーが1位でゴールした。

〈あとは2位争いです!どっちに軍配が上がるか?〉

2台は性能が互角なので、併走したまま最終コーナーへ。

(よし、さっきの技をもう一度――)

アグネスはアクセルを急に吹かして、タイヤをスリップさせた。

「?!なんだ!」

バラートは驚いた。

スリップしたまま曲がる。

スピードを落とさず曲がれた。

安全にグリップ走行をするバラートに差をつけることができた。

(っく、もう勝てないな、甘く見すぎた・・・)

そのままゴールイン。アグネスが2位、バラートが3位だ。



結果発表
1 ペガサスタイガー 1:26:75
2 アグネス 1:30:68
3 バラート 1:30:90
4 パープルタイガー 1:39:33
5 ダンディーロケット 1:42:19
6 せいそうしゃ 1:59:87
7 ハセガワ3131 2:00:56
R レッドパンサー
R スーパー4WD
R チョコバニラ



アグネスに、銀のカップと賞金150Gが渡された。

初レースは、優勝こそできなかったものの、2位という好成績を収めたのだ。

これは、いつになっても記憶に残るだろう。

しかも、バラートとはいい親友になれそうだ。


「おめでとう、アグネス君」

ハセガワ3131が来た。

「うん。ありがとう」

「次は、君は春の山だって。ここから地下鉄で行けば近いよ。あと、オフロードだからタイヤに気をつけるといいよ。僕とバラートは高原ショートコースなんだ。どちらもレースは明日やるからね」

「ありがと。がんばれよ!」

ハセガワ3131は去っていった。

「バラートも、次は優勝してくれよ」

「おう!任せときな!じゃあな」

バラートはハセガワ3131を追っていった。

(よし、まずはパーツショップに行くか)

アグネスは、パーツショップへと足を運んだ。



QC暦0098年3月29日(日)
走行距離 3Qkm
所持金 1150G
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最終更新日(09.07.15)
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